書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「雑学のすすめ」清水義範
評価:
清水 義範,西原 理恵子
講談社
コメント:テーマが「雑学」だもんだから、ちょっと論が拡散した気が……。

●本日の読書
・「雑学のすすめ」清水義範 え・西原理恵子/講談社文庫

 清水ハカセとサイバラの、ええっともう第何弾か分かりません、お勉強シリーズです。タイトルが雑学と云う事もあり、今回の本は章ごとにトピックがばらばらなのでちょっと拡散している印象があって、あまり残るものがありませんでした。理科や算数みたいにある程度範囲を区切ってやった方が分かり良いんじゃないかなあこのシリーズの場合。そういう見方では今回は雑学と銘打ってはいますが、社会科、それも地理の色が濃い一冊です。清水ハカセが旅行に行った先で見聞きした経験を元に論を広げている箇所が多いので、旅行先である中東から東欧の雑学が多いです。

 ええと、わたし世界史と世界地理がからきし駄目なので、文字の上で目がつるつる滑ったところも多かったです。でも日本で飲むコーヒーが中東ではマイナーで、同じものを頼もうと思うと「ネスカフェ」と注文しなきゃならんと云うのはちょっと面白かったです。普通にコーヒーを頼むと、粉コーヒー(カップの底にコーヒー粉が沈殿している)が出てくるんですって。

| 国内さ行(清水 義範) | 12:25 | comments(2) | trackbacks(0) |
「独断流「読書」必勝法」清水義範
評価:
清水 義範
講談社
¥ 660
コメント:文学史に輝く名作を、独特の視点で紹介する一冊。

 世の中には読みたい本がたくさんある。

●本日の読書
・「独断流「読書」必勝法」清水義範 え 西原理恵子/講談社文庫


 この本を父と同時に読んで、私には教養が無いなあと思いました。思い込みかも知れませんが、私は文学全集を読んでいることは教養だと思うのです。自分、本はほどほどに読んでいる方だと思うのですが、こと世界名作文学日本名作文学になるとからきし読んでいないのですよこれが。で、この本は清水流の名作読書ガイドなのですが、取り上げられている以下の作品について、父は半分以上の作品を読んでいるのに対し、私は「伊豆の踊り子」と「金閣寺」しか読んでいなくて愕然としたのです。だめだー、二十代までに読んでおかなきゃいけない本を取り落しすぎだー。

 取り上げられているのは以下。「坊っちゃん」「ロビンソン・クルーソー」「伊豆の踊り子」「ガリヴァー旅行記」「細雪」「ハムレット」「陰獣」「嵐が丘」「高野聖」「罪と罰」「河童」「谷間の百合」「墨東綺譚」「黒猫」「暗夜行路」「ボヴァリー夫人」「金閣寺」「若い芸術家の肖像」「万延元年のフットボール」「魔の山」。駄目だよ、全然読んでないよ、教養低いよ俺ッ!

 ま、身贔屓かも知れませんが、半分以上の作品を読んでいる父も凄いと思います。

 中盤の外国文学については、普通は飛ばしちゃう日常の微々細々をことこまかに書いていることに文学的価値があるとされている作品ばっかりで「これもかー、これもそうかー、外人っちゃどんだけ細かいんやー」と、清水義範の文章でなければうんざりするところでした。

 西原理恵子の漫画にもありますが、ネットで粗筋など紹介されている本を、あえてこの本で紹介してあるからと云って読むかと云うと、私は清水義範が好きなので読みたいと思いました。サクッと読めるので、深く広い文学と読書の海への入り口としてどうぞ。

| 国内さ行(清水 義範) | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
「行儀よくしろ。」清水義範

評価:
清水 義範
筑摩書房
¥ 714
コメント:学力低下は本当か?先生だって普通の人だ。
●新年の読書
・「行儀よくしろ。」清水義範/ちくま新書


 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 年越し本は泉鏡花の「外科室」にしようと思ったのですが、脳みそのコンディションが偶々古文向きでなかったので、実家にあったこの本を読みました。清水義範の教育論好きだし。

 日本の教育について最近言われている学力低下について、それは本当なのか、そして本当だとしたらそれは果たして悪い事なのかを論考した一冊です。そもそも比較のテスト問題は毎年同じではないそうなので、その結果を持って学力が低下したとは言えないと云う筆者の論はその通りだと思います。また学力低下と云って騒ぐと相対的に年長者の方が出来が良かったと云う事になるので、彼らの優越感をくすぐると云うのもまた正論。

 この本について「そうそう、良く言ってくれた」と思ったところは大きく二つあります。まず一つ目。「学校の先生は普通の人だよ」と云う事。教師をやっている友人も複数人おりますしその方々には不愉快な思いをさせて仕舞うと思いますが、教師は職業として勉強を教える事に長けている、その技術がある人と云うだけで、人間的に優れており、我が子に社会的規範を身に付けさせることが出来る人間であると思い込むのはお門違いであると云う論。それは全くその通りだと思います。先生は単に勉強を教えてくれるだけで、それ以上は期待してはならないし、そんな偉くもない(先生失礼)。躾や社交は各家庭で教育すべき事であるから、学校を責めるのはおかしい。その通り。

 二つ目。「若者が悪くなったと嘆く大人、そんな若者を作ったのは今の大人だ」。これもその通りだと思いますよ。最近モンスターペアレンツなんて言葉も聞くようになってきましたが、そもそも現在の若者は現在の大人の挙動を見て育ったのであるから、若者が悪くなったと思う大人は、彼らに自分たちを育てた親世代より落ちた社会的教育しか施せなかったとそう云う事であるとする論。若者を非難するのは、廻りまわって自分たちが駄目であったと言っているようなもんだと、そう云うこと。これも分かる。

 この本は教育について述べてはいますが、学校教育に限らず、社会が行う教育(規範とかモラル、集団の中での振舞い方など)についても除いて考える事は出来ないとする立場に立った論なので、こう云う意見が述べられている訳です。うん、納得出来る。語り口が優しい(易しい)為に少しゆるい印象を受けるのと、数字のデータを扱っていないために多少甘い感じはしますが、するすると読めました。自分は自分の親から受けたのと同等かそれ以上の教育を、子供に施せるでしょうか。これからの頑張り次第です。
| 国内さ行(清水 義範) | 12:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
「飛びすぎる教室」清水義範
●本日の読書
・「飛びすぎる教室 〜シミズ博士の雑談授業〜」清水義範 え・西原理恵子/講談社文庫 ISBN:4-06-275588-2


 学問シリーズ最終巻。理科、社会、算数、国語と小学校の主要四教科を終えての最終巻は、授業中の脱線話やホームルーム(うちの地方では「帰りの会」と言っていた)での雑談をまとめた一冊。タイトルはケストナーの「飛ぶ教室」から。雑談なもんで話題はキリスト教や歴史や宇宙や墓、奴隷制度など色々。普段馴染みの無いキリスト教と天使についての話は、最近宗教の人の訪問を受けて色々と話をする上の参考になるので、興味を持って読めました。

 ただ、雑談授業と云う今回の本の特質から、各章に共通点が少ない為にちょっと散逸した感じを受けました。一章一章は独立して面白いのだけれど、本全体で見ると自分の興味のあるところしか覚えていない感じ。

 あ、そうか。元々そういったところ、興味がある人は覚えている、無い人は覚えていないと云うのが先生の雑談のあるべき姿だから、これはこれでいいのか。個人的には最終章の宇宙の話(ビッグバンから宇宙は膨張している話まで)が最も面白く、「おもしろくても理科」から始まったこのシリーズの中では、やはり理科が自分にとって一番知りたい科目だったのだなあとしみじみ思う午後なのである。
| 国内さ行(清水 義範) | 13:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
「今どきの教育を考えるヒント」清水義範
●本日の読書
・「今どきの教育を考えるヒント」清水義範/講談社文庫 ISBN:4-06-273577-6


 清水義範の教育論は好きです。教育大学を出ていながら教鞭をとった事がない著者は、現場を経験として知らない代わりに客観視出来るのではないかと思いますから。

 この本は主たる教育現場として思い起こされる学校のみではなく、家庭や社会そのものも視野に入れたエッセイです。そして被教育者としても子供のみではなく、大人も教育される立場である事が書かれています。

 全編通して共感したのは、大人がしっかりしていないと子供がしっかりしないと云う事。当たり前と云えば当たり前の主張なのですが、さて現在の荒れる学校だの切れる子供だのを論ずるには、その子供の特性(突然変異的な)を云々するのではなく、その子供を育てた「社会」を考えるべきではないかと云う論。ここからはあたしの考えですが、子供に何事かがあった場合、又は子供が何事かを起こした場合の親の責任は追求されて然るべきであると思います。しかしそれを考えていく時に、その親を育てた親、つまり祖父母世代からの社会的影響と云うのは考慮しなくて良いのか、と云う清水義範の主張は無視出来ません。

 自分も配偶者も、親には恵まれていると思います。十二分にしっかりした親に恵まれた環境で育てて貰い、非常に感謝しています。親しく付き合っている友人たちの親にもいい加減な人はいません。そしてきっと、そのしっかりした親の親もしっかりしている親だったのだと思います。そしてそういった人間を育てるのは地域であったり社会であったりの影響が非常に強いものであるとの考えにも賛同出来ます。多少論が散逸して来た様な気もしますが、つまりは教育について学校が云々言う前に、社会を良くする努力を怠ってはならない訳です。

「人は何故人を殺してはいけないか」、この問いに対する一つの考え方が社会に関係して書かれていて、それだけでも読んで良かったと思いました。
| 国内さ行(清水 義範) | 17:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
「はじめてわかる国語」清水義範
評価:
清水 義範
講談社
コメント:高島俊男氏の著作読みたい

●本日の読書
・「はじめてわかる国語」清水義範 え・西原理恵子/講談社文庫 ISBN : 4-06-275272-7


 良く分かった、と思う。特に面白かったのは以下の三章。
・たまには生々しい話を
・悩ましきかな漢字
・どう書きゃいいのだ日本語

 今までは日本人として生まれ日本人として育ったいち読書好き国語好き(だってテストの点数良かったから)のわたくしと致しましては、日本語の表記が「平仮名」「漢字」「片仮名」と云う三つの文字体系がある事に些かの優越感を感じておったのですよ。これらを自在に組み合わせる事で、アルファベットのみの言語に比べてより多くの雰囲気・情感を伝える事が出来るのではないかと。そしてその言語体系を操っている自分たちを誇る気持ちもあったのですね。ですが実際はこの日本語、他国から新しい文字を輸入した際に、既存の言語との折衷を図って苦労して組み込むことで逆に複雑になり、更にまた多くの無理矛盾を抱える事になって仕舞ったそうな。だから収録の対談(高島俊男と清水義範)で「日本語が幼稚な言葉?」と書かれていた事には少なからずショックを覚えました。日本語と漢字が相性の悪いまま今まで整備もされずずっとやってこられた、なんて聞くと、そりゃショックですよあなた。

 そしてもう一つ仕入れた新たな知識としましては、常用漢字表と当用漢字表、人名漢字表の成り立ち。小説などではこれらは特に制限を掛けない漢字表なのですが、国語の教科書には常用漢字表に載っている漢字しか使っちゃいけないなんて、知りませんでした。新聞では「常用漢字表以外に新たに新聞で使用が可能になった漢字」なんて記事が載る事があるが、これは実際どう云う事だったのか、というのが分かりました。

 自分に取っては「はじめてわかる国語」と言うより「はじめてわかる日本語」だったこの本ですが、普段ぞんざいにしか考えてこなかった日本語と云うものを、もう少し歴史的側面から体系的に捉え直したいと思いました。と云う事でいつか「漢字と日本人」(高島俊男/文春新書)を読んでみたいと思いました。
| 国内さ行(清水 義範) | 19:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
「サイエンス言誤学」清水義範
●今日の読書
・「サイエンス言誤学」清水義範/朝日文庫


 科学雑誌「サイアス」に連載されていた一頁エッセイをまとめたもの。簡単な科学読み物なのですが、扱うその科学は多岐に亘り、最新の科学の発見から、昔から判っているけれどちょっと意外な事、日常の当たり前が科学に繋がっている事などをまとめてあるので、ちょっとした余暇に読むのに適当な本です。思い附いた時に三、四項読むといい感じです。

 だもんで理系を出てろとは言いませんが、少しは科学に興味のある人、中学校理科レヴェルの知識がある人が読んだ方がより楽しめると思います。相変わらず清水義範は面倒臭い事を親しみやすく説明する事に長けていて、だから好きだなぁと思います、って「いやでも楽しめる算数」の時とまとめ方が同じだ。
| 国内さ行(清水 義範) | 23:23 | comments(0) | trackbacks(1) |
「いやでも楽しめる算数」清水義範
●今日の読書
・「いやでも楽しめる算数」清水義範 著 西原理恵子 絵/講談社文庫


「清水義範に数字の話をさせると凄く良く分かる」
と云うのが「単位物語」を読んでからの信頼なのですが、今回も期待に違わず凄く良く分かりました。「おもしろくても理科」から連綿と続く学習エッセイの最新文庫です。今回個人的に一番の収穫は分数の割り算。十年以上理系に籍を置きながらも今の今まで分数で割る時にどうしてひっくり返して掛けるのか分かっていなかったのですがやっと分かりました。割り算が引き算だと意識して考えれば原理は理解できるのですね(でも「ひっくり返す」辺りがまだ押さえ切れていない)。実は単行本で出版された時に立ち読みして一度感動している筈なのに、文庫に落ちるまでの間にまた忘れて仕舞っていたのが問題と云えば問題。

 後は日常のちょっとした計算トリックを理詰めで解説していくのとか、九の不思議とか、零の起源とか面白い話は色々ありましたが一番印象強いのが先の話でしたなぁ。

 シリーズでお馴染みとなりました西原理恵子の挿絵と云うか漫画ですが、理科の時はそればっかり見て文章を余り読んでなかったのが、今回は逆に漫画の方を殆ど読まず文章ばっかり見てました。文章ネタが面白いのか集中力の違いか西原理恵子が算数嫌いで手を抜いてるかどれかですね。西原女史の場合は手を抜いている方が面白い事があるので油断してませんけど。
| 国内さ行(清水 義範) | 23:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
「もっとどうころんでも社会科」清水義範
●今日の読書
・「もっとどうころんでも社会科」(清水義範 え 西原理恵子)講談社文庫:ISBN:406273798


 「どうころんでも社会科」の続編。社会科はこの作者が得意とするところであり、シリーズの始まりである理科(化学・科学エッセイ)よりも恐らくは本領が発揮されていると思う。雰囲気としては、「おもしろくても理科」の場合は門外漢が一緒に学習していく楽しみ、「どうころんでも社会科」は世相や歴史の一部をクローズアップした解説書的な読み方が出来ると思う、あたしは。

 まずこのシリーズで必ず取り沙汰されるのは、西原理恵子の漫画である。清水義範について知らないほとんどの人はこの本を手に取って、西原理恵子の漫画のみを斜め読みして終わりと云う至極勿体無い読み方をする人が多いと思われる。確かに西原理恵子の漫画は面白い。パンチがあるし人目を引く。本論に関係ないように見せて本質で繋がっている漫画だ。ただ清水義範の文章は面白いのだ。人に分かって貰おうと云う姿勢が見えて、だから読む気になる文章であると云うか。特に『オランダ人の謎』の章などいいですよ。何であれの事をダッチワイフと呼ぶか、なんて事は西原理恵子の漫画を読んだだけでは分からないからねぇ。
| 国内さ行(清水 義範) | 22:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
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