書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「暗闇の中で子供」舞城王太郎
●本日の読書
・「暗闇の中で子供」舞城王太郎/講談社新書:ISBN:4-06-182206-3


 舞城王太郎二冊目。ご存知の通りメフィスト賞受賞作「煙か土か食い物」の続編、奈津川家サーガの第二章です。前作の主人公が奈津川家四男の奈津川四郎であったのに対し、今作の主人公はその兄で、前作でぱっとしないところを披露した奈津川三郎。

 「煙〜」では四郎が頭良すぎて出てくる謎が広がりきらない内に「ほうか」「ほうか」と解いて行くもんだからある意味ミステリではなかった。その点三郎は四郎に「死ねや三郎」と罵倒されながら自力で考えていくので、多少ミステリ仕立てにはなっている。なっているが肝心の事件の真相が***なものであり、ラストもまた驚愕と言うしかないまとめ方であるが故に、これをミステリと呼ぶには憚りがある。言葉がちょっとつっかえる。てゆうか結末が、結末がッ……!

 あたしはこれが家族小説だと思う。真っ直ぐに暴力な家族小説である。四郎も二郎もその後の展開がほったらかしなので、今後の奈津川家サーガを待つ事にする。ってか案外これで投げっぱなしと云うのも舞城らしくて良いのかも知れないがな。
| 国内ま行(舞城 王太郎) | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
「煙か土か食い物」舞城王太郎
評価:
舞城 王太郎
講談社
コメント:タイトルの由来がいいよ

●今日の読書
・「煙か土か食い物」舞城王太郎/講談社ノベルス ISBN:4-06-182172-5


 読みたかったのです舞城君。「文学賞メッタ斬り」(パルコ出版)で豊崎由美が絶賛していて「好き好き大好き超愛してる」なんて人を舐め切ったタイトルの作品が「世界の中心で愛を叫ぶ」の強烈なアンチテーゼであると聞いたりしててずっと。

 はまりました。

 バイオレンスは読んでて痛いので好きでは無いのですが、それを超えて余りある牽引力。文体の勝利です。この句読点も改行も段落換えも少ない奈津川四郎の語り口が先を急がせて止まりません。やっぱ人間強くないといかんなぁ。

 ミステリに粗筋は禁忌ですが、導入部だけ書くと、アメリカで勤務する凄腕外科医師である奈津川四郎に「ハハキトク、スグカエレ」旨の連絡が入り、蓋を空けてみると母は現在福井県内を騒がせている連続主婦殴打生き埋め事件の被害に遭い意識不明、疲労困憊なのに眠れない身体を持て余しつつ奈津川四郎はファッキンマザファッカーと犯人探しを始めると云う塩梅。四郎(に限らず奈津川四兄弟)が賢くて、ちっとも立ち止まらないのでいい。壮大なる奈津川家サーガの幕開け。

 やっぱこの勢いを駆って「暗闇の中で子供」も買うべきか。
| 国内ま行(舞城 王太郎) | 15:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
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