書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「謹訳源氏物語2」林望
●本日の読書
・「謹訳源氏物語2」林望/詳伝社


 コデックス装による安定の読みやすさ。パタッと見開いても閉じないよ。授乳しながら読むのも楽々、と書いて既読感があったので(1)の感想を見たら同じことを第三子の育児休暇中にしているよわたし! てことは一巻読んでから二巻読むまで丸三年経過したってことか。源氏物語関連書物は一般の人より沢山読んでいると自負しているので、間が開いてもあんまり気付きませんね。

 さて今巻が一番源氏物語の源氏物語的なところとでも言いましょうか、若い光源氏が女たちを渡り歩いたり、義母藤壷に横恋慕の果てで父天皇を裏切ることになったり、親友頭中将と青海波を舞ったり、正妻葵上が懐妊・呪われる・出産したり、いい大人の源氏(大学一年生)が遂に紫上(中学二年生)に手をつけたり、政敵右大臣の娘の朧月夜と通じたり、それが見つかったりと、いわゆる「須磨」に通じる一連のあれこれです。帖で言うと
 末摘花
 紅葉賀
 花宴
 葵
 賢木
 花散里
が収録されています。

 林源氏はやはり分かりやすいですね! 古語訳であることを感じさせない語り口の自然さ、登場する和歌の元になっている古歌の折り込みも自然だし、源氏物語を通して読むには最適だと思います。目的別で言うとこんな感じ。

・なるべく短時間で大まかな流れをつかみたい
→「あさきゆめみし」大和和紀
・物語を通して読みたい
→「謹訳源氏物語」林望/詳伝社
・古文の文法など含め、学術的視点も含めて読みたい
→「逐語訳源氏物語」大塚ひかり/ちくま文庫

本来ここに入ってくるべき与謝野晶子訳、円地文子訳、田辺聖子訳は不勉強にして読んでいないので、いつの日か読んだら組み込んでいきたいと思います。予感としては田辺源氏が一番読みやすそうだなー。

 さて、次はムカつく光源氏が須磨に流される巻ですよ。でも流された先で明石の姫君に会うので、ホントこいつ転んでもタダでは起きないな!
| 国内は行(林 望) | 15:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
「謹訳 源氏物語1」林望

●本日の読書
・「謹訳 源氏物語1」林望/祥伝社


 ああ、源氏物語ってこういう話だったのか! 源氏物語初心者は、是非このシリーズで読み進めるべし。

 何を今更な感想ですみません。ちくま文庫で出ている大塚ひかりの「源氏物語」逐語訳を完読した後で、次の源氏に取りかかる辺り、どんだけ源氏物語好きかと思う向きもあるでしょうが、三国志関連書物はこの十倍くらい読んでいるのでまだまだ甘いもんです(何が?)。装丁の美しさと、小説として面白いと聞いたので早速全十巻の一巻目に取りかかってみました。ああ、これから長い旅が始まる。

 大塚版「源氏物語」も非常に分かりやすかったのですが、この「謹訳」はまた一味違います。大塚版は話の合間合間に「ひかりナビ」と云う解説が差し挟まれていたのですが、「謹訳」はそういった解説が全くなく話がとんとーんと進んで行くので、流れが分かりやすいです。その分、原文から敢えて省いた語があったり、理解を進める為に付け加えた語などもあると思いますが(付き合わせていないので、そう云った言葉のあるないは私の推測ですが)、小説としても面白く、平安時代に紫式部の書いたものを読んでいた人はこう云う気持ちで続きを読み進めていたのだろうなあと思います。うん、読みやすいです。

 また装丁も上品です。和綴じの「コデックス装」と云う体裁ですが、これは机などに置いて広げてもページが閉じない作りで、乳飲み子に授乳しながら読み進めるには非常に楽でした(やんなよ)。朱色がかった表紙も平安の袴の色を思い起こさせ、また背表紙などに配された源氏香もお洒落。二巻を読むのが楽しみです。

| 国内は行(林 望) | 12:58 | comments(2) | trackbacks(0) |
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