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書評・三八堂のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます
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2017.07.02 Sunday
「ビブリア古書堂の事件手帖7」三上延
●本日の読書 ・「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと」三上延/メディアワークス文庫
ええっと、コレいつ読んだんだ……ブログ下書きが7月2日……。と云うことでちょいちょい読了した本は溜まっているのですが感想文書く体力的余裕がない日々を過ごしております皆様お元気ですか。 シリーズ完結編です。今回のテーマはシェイクスピアの稀覯本。大変楽しく、そしてシリーズを締めるに相応しい終わり方でした。最終巻と言うこともありますが、前巻までの内容を把握していないと、本作で登場する人物が誰なのか、主人公たちに取ってどう云う関係の相手なのかが分からないので、シリーズ通読している人向け。通読している自分ですがあまり内容を覚えていなかったりするので、「○○の事件で世話になった」とか書いてあっても、はてどなたでしたっけ? ってなっていますけど(と毎巻書いている)。 ざっくり粗筋。ビブリア古書堂の若く美しい店主、栞子さんの母で古書のためなら手段を選ばない篠川智恵子。彼女と浅からぬ縁を持つ久我山尚大が、亡くなる間際に智恵子に出題した稀覯本に関する試験問題は「色の異なる三冊の特装本のうち、本物は一冊だけ。手を触れずにどれが本物か当てたら、自分の古書店の跡継ぎにしてやる」というもの。智恵子はその申し出を断り、尚大の恨みを買ったことから今回の話が始まります。智恵子が「手を触れなくても見分けられる」と宣言した三冊の特装本はその後世界各国に散り散りになります。ある日、尚大の側近だった男がビブリア古書堂を訪れ、栞子さんと五浦大輔くんもシェイクスピア稀覯本の謎に巻き込まれていきます。 相変わらず古書と稀覯本と古書店商売についての蘊蓄は豊富で読んでいて面白いです。シェイクスピアに限らず、過去に出版された本の作り方、それが今に残ってどのように古書市場で価値を出しているかなどなど。 三冊のシェイクスピア初版本(ファーストフォリオ)に関する謎解きはそこまで込み入ったものではなかったのですが、わたし一つ最後まで分からなかったのが、篠川智恵子がどうして「手を触れなくても見分けられる」と言ったのかについて。最後までその謎については解明されていなかったと思うんですが、どうして分かるんだろう。 もう一つ、完結作として良かったのが、栞子さんと五浦くんの関係に決着がつくこと。シリーズ読者なら大体の結末分かっていると思いますが、やはりきちんと結末を付けてもらえるのは大変嬉しいことでございますね。いや今回、内容について書き過ぎたな。
JUGEMテーマ:小説全般 2015.02.15 Sunday
「ビブリア古書堂の事件手帖6」三上延
●本日の読書
・「ビブリア古書堂の事件手帖6 〜栞子さんと巡るさだめ〜」三上延/メディアワークス文庫 今回は一冊丸ごと太宰です。一巻で大学卒業後定職に就いていなかった五浦君がビブリア古書堂で働き始めるきっかけとなったのは夏目漱石全集の「それから」がきっかけですが、その事件をビブリア古書堂の美しき女店主・栞子さんが解いた際に五浦君の出生にまつわるある疑惑がほのめかされます。今巻はその謎と、一巻で起こった事件の続編が描かれるので一巻は必須で読んでおいて下さい。まあ六巻まで来たら既刊読まずに手に取る人はいないと思うんですが。 前巻で栞子さんと五浦君のなかなか進まない関係に一応の進展が見られた訳ですが、太宰の本にまつわる大きな発見と稀構本を巡る攻防の合間にゆっくり進展するラブストーリーが差し挟まれて、いやあほっこりしますね、幸せになって欲しいですね。……いつになく善人面したコメントですが、この小説のキャラたちには幸せになって頂きたいので何となく。五浦君が若い割にがっついてない性格なので好感度高いんですね。 太宰の稀構本については、作品中に登場するものが実在するのかどうか分からないのですが、それが本当にあるのなら持ち主に危害を与えてでも入手したいと云う熱烈なファンが五人はいそうなくらい、貴重で魅力的で少し恐ろしい存在の本が登場します。その貴重な本をめぐるミステリの序章として、誰もが教科書で読んだ「走れメロス」の底本にまつわる意外な話や、古書の価格を左右する「アンカット」などの雑学も得られます。表紙の絵でライトノベルと思う勿れ、満足度偏差値高くて楽しめますですよ。今回の犯人も分からなかったです(真面目に当てようとしてないけど)。
物語は終局を見据えて、あともう一、二冊とのこと。少し寂しいですね。 JUGEMテーマ:小説全般
2014.03.05 Wednesday
「ビブリア古書堂の事件手帖5」三上延
・「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜」三上延/メディアワークス文庫 いつの間にか五巻を数えるまでになったビブリア堂。栞子さんと五浦君の恋愛関係にも微妙ながら動きが見えてきたところに、長く失踪していた栞子さんの母親(ラスボスポジション)の姿も見え隠れしてきた……と云うところが四巻までのざっくりした粗筋です。ざっくりしすぎ。さて四巻は一冊で一つの謎を解くシリーズ初の長編形式だったのに対し、五巻は通常通りの中編集です。謎の鍵となる今回の古書は、古書情報誌「彷書月刊」のバックナンバーと手塚治虫の「ブラック・ジャック」、寺山修司のデビュー作「われに五月を」の三本です。 謎解きの品質は安定しており、キーとなる古書雑学もミステリとしての伏線も上手いこと張られていて平均点高いです。1巻から読んでいる人は続けて読みましょう。 今巻でたまたま印象に残ったことが二つあるので書きます。一つ目はイラストです。シリーズの売り上げに間違いなく貢献している越島はぐ氏のイラストですが、この方は可愛らしい人物絵のみでなく、風景画もとても上手ですね。既刊でも扉絵は見ていたのですが、五巻のモノレール停車駅の絵がとてもきちんとしていて、人物画は得意でも背景を描かせると「?」な絵描きさんも多い中で、感銘を受けました。 二つ目は寺山修司です。高校生の頃に「家出のすすめ」を読みましたが、重度のマザーコンプレックスが反映された気持ちの悪い随筆と云う印象しか残りませんでした。それがビブリア堂で「われに五月を」の抜粋された部分を読むと、とても瑞々しい表現に全ての言葉がきらめいていて鮮烈な作品だったのです。驚きました。二十年目の再会です。もう一度、寺山修司に出会い直してみたいと思いました。 2013.04.29 Monday
「ビブリア古書堂の事件手帖4」三上延
・「ビブリア古書堂の事件手帖4」三上延/メディアワークス文庫 うーわーすっげー久し振りに本読んだー。丁度原作が月九でドラマ化されて毎週「違う、栞子さんは違うっ!」とテレビの前で叫び続けていたわたくしが、最新四巻の読書感想文を書きますよ。因みに原作の栞子さんとドラマの栞子さんの違いは以下です。 (原作)黒髪ロングヘアー(ドラマ)ショートヘア (原作)黒縁眼鏡(ドラマ)裸眼 (原作)超絶人見知りだが、本のことになると饒舌(ドラマ)いついかなる時でも常に堂々としている (原作)グラマー(ドラマ)そうでもない (原作)主人公24歳より明らかに年上(ドラマ)二十代前半 挙げると切りがないのでこのくらいにします。そしてわたし的にまずかったのが、ドラマの最終回とその一回前の前後編が、未読の最新四巻ノネタを元にしていたと云う点です。本読まなきゃドラマ見れねえじゃねえか! ドラマ見なきゃHDレコーダーから消せねえじゃねえか! 情報リークしてくれた母に感謝です。原作より先にドラマ見てたら原作のネタバレで面白さ七割減でした。あー先に本読めて良かった。 さて第四巻ですが、今までの三冊が短編集だったのに対して、一冊丸ごとで一つのお話、江戸川乱歩に題を取った長編です。で、謎の入り組み方も謎解きも作中随一の面白さです。あ、でも飛ばし読みはお勧めしません、順を追って読み進めて下さいな。江戸川乱歩と云うケレン味に満ち溢れた作家の特性と、古い作家であるが故に色々な出版社が版を重ね何度も改稿されたことが謎を重厚に奥深くしています。栞子さんと五浦君の関係もちょっとだけ進んだ、かもね。 2012.07.25 Wednesday
「ビブリア古書堂の事件手帖 (3)」三上延
●先週くらいの読書 2012.04.01 Sunday
「ビブリア古書堂の事件手帖 (2)」三上延
●本日の読書 2012.02.26 Sunday
「ビブリア古書堂の事件手帖 (1)」三上延
・「ビブリア古書堂の事件手帖 (1)」三上延/メディアワークス文庫 どうせライトノベルだろうと軽い気持ちで読んだらなかなか良かったです。古書にまつわる謎を古本屋の美人店長が解く安楽椅子探偵もの。この店長が、文庫の表紙イラストにあるように黒髪ロングの美人で、本のことになると饒舌だがそれ以外では極端な人見知り体質で黒縁眼鏡の年上という、所謂萌え要素満載の設定。一冊に四つの短編が収録されています。 語り手は就職先未定の大学卒業直後の男性、五浦。彼が祖母の蔵書整理でかのビブリア古書堂を訪れることから物語が始まります(厳密に云えばプロローグはもう少し先の時代ですが、それは実際の小説をお読み下さい)。五浦君は幼少期の出来事で極端な文字恐怖症ですが、ビブリア古書堂の栞子さんとの出会いで、多少不純ながらも本や物語について近付けるようになっていきます。そのきっかけとなるのが古書堂に持ち込まれる曰く付きの古書の数々。マニアックですよね、古書のあれこれ。初版本・稀少本・乱丁本の価値やら背取りと云う職業(職業?)など、知っている人は知っている本の隙間ごとがぽこっと出て来るのも本好きには嬉しいです。 本書をジャンルで分類するとミステリになるのですが、それは怪我で入院中の栞子さんが五浦君の話を聞くだけで古書に隠された謎をするするとほどいて仕舞うからです(だから安楽椅子探偵もの)。伏線の張り方もわざとらしくなく、かといって見え透いてもいない丁度良い塩梅です。章をまたいで発動する伏線もあり、通して読んだ最終話「太宰治「晩年」(砂子屋書房)」が一番良く出来ていました。続刊出ているようなので、読んでみようかと思います。 そして五浦君と栞子さんの恋の行方には特段関心を払っていないと云う。いや、上手く行けばいいなー、くらいは思いますが。 1/1 |