書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「2週間で人生を取り戻す! 勝間式汚部屋脱出プログラム」勝間和代
評価:
勝間 和代
文藝春秋
コメント:自分の片付けモチベーションを上げたい。

●本日の読書
・「2週間で人生を取り戻す! 勝間式汚部屋脱出プログラム」勝間和代/文藝春秋社

  経済評論家の勝間和代氏が、あるきっかけから汚部屋だった自宅を徹底的に断捨離してホテルのように美しくし、自宅が世界一快適な場所となり仕事の効率が上がり新しい恋人と出会えたことを綴った「片付け本」です。わたし自分が片付け下手なのでありとあらゆる片付け本を読み漁って知識だけはあるのですが、結局やらずにそこそこ散らかった部屋で満足して暮らしております。でも片付けてきれいなおうちに住みたい欲は消えていないので、こうして定期的に片付け本を読みたくなるのです。最近は片付けメソッドを読み尽くしたので、片付け実録(写真付きが望ましい)を読む方が好きです。

 本のタイトルは「勝間式」と謳っていますが、別に氏が新しく考案した片付けの方法が書かれている訳ではなく体験談が書かれている本ですので、そこのところは注意が必要です。タイトルでもう一つ言うなら「2週間」というのも「普通の家庭なら大体2週間で終わるだろうけれど、私の家は物が多かったので約一か月掛かった」とのことで、つまりは目安としての2週間です。1日目はここを片付けて、2日目はここを片付ける……などのスケジュール表は付いていませんので悪しからず。

 氏が片付けるきっかけになったのは「座らない!:成果を出し続ける人の健康管理」という本と Apple watch だったそうです。一時間に一度立って一分間動くのは体に良いという内容を読んで、活動量計が付いている Apple watch を使い始めたことが始まり。Apple watch は座り作業をしていたら一時間に一度「Stand」とアラートが表示され、自分がいかに動いていないかが見える化されることで運動についての意識が高まったそうです。

 そしてもう一つのきっかけは「よく眠るための科学が教える10の秘密」という本。良い睡眠を取るには自分の寝室を眠るための場所にするべきだ、という表記から、寝室を快適にするための片付けを始め、そこで寝室の収納が「破産ポイント」に達していると気付くのです。モノが出しっ放しになっている寝室、モノを収めようにもクローゼットは使われていないもので埋まっている、これは捨てなくてはいけない、と2時間で断捨離決行。そこから雪崩のように家の中の片付けが始まります。

 氏が家じゅうを片付けている最中に気付いたことがロジカルな言葉で書かれていますが、冒頭にも書いたようにわたしは今、人の片付け体験を読んで自分のモチベーションを上げたいという目的があったので、メソッドの習得よりもドキュメンタリーとして面白く読めました。

 

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| 実用書 | 23:11 | comments(0) | trackbacks(0) |
「できる人の仕事のしかた」リチャード・テンプラー
評価:
リチャード・テンプラー
ディスカヴァー・トゥエンティワン
コメント:合わんかった。

●本日の読書

・「できる人の仕事のしかた」リチャード・テンプラー 桜田直美 訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン

 ああー、選書を誤った。今のわたしに必要なことは書いていなかった。大掴みに言えば、会社で出世するためには見た目と動作を偉く見えるように飾り、社内の不文律には黙って従い、悪口と不正に与せず働けばいいよ、って話でした。まあ、そりゃ出世するでしょうね。

ただし、部長を狙うなら、部長の仕事ができることが大前提だ。ハイハイもできないうちから飛ぼうとしてはいけない。(168 ページ)

 だーかーらー! その「仕事ができるようになる」方法を知りたいのわたしは! 仕事ができることが大前提(ドヤ顔)じゃねーよ。どうすりゃ仕事上手く回せるようになるんか知りたいんだってば!

 てことでニーズとシーズが合いませんでした残念。

 

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| 実用書 | 19:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
「佐藤オオキのボツ本」佐藤オオキ
評価:
佐藤オオキ
日経BP社
コメント:同い年なんだよなあこの人。


●本日の読書

・「佐藤オオキのボツ本」佐藤オオキ/日経 BP 社

 ずっと「佐藤ナオキ」だと思ってた。「オオキ」だったとは。カタカナから受ける印象で思い込みが修正されないままずっと NIKKEI DESIGN の記事を読んでいたよ。

 本書はデザインオフィス nendo 代表として有名な佐藤オオキ氏の著書。デザイン業界に然程詳しい訳ではありませんが、ひととき佐藤可士和氏(カシワシ。音読したい日本語)が若手の先鋭だった印象がありますが、最近はこの方が有名になってきたように思います。と云うのはわたしが NIKKEI DESIGN の作り出すイメージに踊らされているだけかも知れませんが。代表的な仕事を挙げると、ロッテのガム「ACUO」のパッケージデザインした方です。

 本書の内容は、過去に著者が有名企業とタッグを組んで世に送り出した作品「に至るまでのボツ案」を収録し披瀝したものです。顧客たる企業に提示するモックアップの精度と完成度が高いです。そのまま商品に出来そうなレベルのものもあるように見受けられます。個人的な事情を申しますと、わたしは NIKKEI DESIGN を読んでおりましたんで同誌の情報から著者の代表的なデザインワークを一通り知っている上で読んでおります。故に初めて手に取る人よりは「あー、知ってる」感が強い。ロッテ ACUO も、早稲田大学ラグビー部の復興も、IHI のロゴだけポスターも、ACE の全方位から開くキャリーバッグプロテカも、omni7 も、by N も、関わってヒットしたこと知ってます。うん、一流だよなあ。わたしと同い年なのに。

 にしても最近は企業イメージも含めて「デザイン」の重要性が喧伝されておりますが、著者も含め、デザイン業界で力があるとされる方は大体が企業にがっつり組み込み、企業理念に基づいてゆがみを直したり起業本来のところに立ち返ったモノ作りの支援をしているように思います。顧客である企業を巧く動かし新しい価値観を産み、ある種の企業再生を果たさせるためには、トップの英断や顧客企業内のチームの結束力、やりきる力を引き出すことが必要です。nendo がそれをどうやっているかというと、精度高いデザインとそのモックアップ、あと己らが部外者であるとの割り切りから発想されるアイデアの数で勝負してるとのこと。勿論様々な事情でそれらはボツになっていくのですが、その一度滅びたボツ案が、アイデア検討の途中で復活したり、形を変えて生かされたりするのです。うーん、エキサイティングな感じ。

 企業再生の特効薬みたいな扱いの「デザイン」とは果たしてなんなのだろうとここ一年ほど考えておるのですが、単純にこのような有名企業の成功例を読んでいると「いいなあ」と思います。しかし個人的な身に立ち返るとやっぱり自分の扱う製品には色々と制約があって、果たしてこういった革新的な「デザイン」という嵐に巻き込まれた時に何が出来るのだろう、何が生み出せるのだろう、と考えて仕舞うんですね。うーん、悩ましい(超個人的な締め)。

| 実用書 | 01:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
「コトラーのマーケティング・コンセプト」フィリップ・コトラー
評価:
フィリップ・コトラー,恩藏 直人
東洋経済新報社
コメント:コトラー本の中では比較的リーズナブルで分かりやすい

●本日の読書
・「コトラーのマーケティング・コンセプト」フィリップ・コトラー 著 大川修二 訳/東洋経済新報社

 僥倖にも、マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー教授の講演会を聴講できる機会に与りまして、どうせ聴講するなら事前に予習しておこうとの気概で読みました。講演会までに通読出来なかったのですが、前半分だけでも読めてから参加出来て良かったですと云うのが個人的な感想。著者の本を読んでマーケティングについて知ろうと思うなら「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」の方を読むべきだと思いますがその本たっかいし、身近で入手出来たこちらと、あといずれ感想書く予定の「1分間コトラー」で大掴みしたわたしなりの感想をば書かせて頂きます。

  そも、マーケティングとは何ぞや。それは製品の販売とは対極にあるもので、顧客を生み出す技術である。製品があってそれを販売するためにマーケティングを行うのではなく、製品開発の「前に」マーケティングを行って顧客が求めているものを探り出し、そのニーズに適合する製品を開発するのである。企業は単に製品を売ってはならない。経験を売るのだ。

へええええ、そうなんだ。マーケティングって広告とかPRとか販売戦略の仲間の一つだと思ってました。社会人になって何年経つんだって自らにツッコミを入れたいところですが、自分が開発担当だってことに甘んじてあまりその方面の勉強をして来なかったので、今回いい機会でした。本書を読んで色々と誤解していた部分がほどかれ、マーケティングの重要性を認識するに至りましたよ。それと同時に世間での「マーケティング」と云う言葉の扱いや認識間違い、別の意味との混同があまりに多いのが不安になります。そもそも外来語なので都合良く使われて来たと云う背景もありそうですが(あくまで個人的な予想)、すっと入り込む訳語がないのも事実だしなあ。コトラー教授のコンセプトに従えばマーケティングとは「顧客価値創造」と言えるかと思います。マーケティングによって企業は自社の顧客を作り出し、また自社の製品を通じて顧客に価値や経験を提供する、それが健全なる企業活動である、と自分なりに理解しました。違ってたらどうしよ。

  本書はマーケティングに関するキーワードを A to Z で並べ、それぞれについて重視すべきことが解説されています。実在企業の成功例・失敗例をふんだんに交え、またエコノミストや経営者の言説の引用も多くあります。1セグメントが短いので取っ付き易いです。1アルファベット1ワードではなく、例えば「M」であれば「マーケティング」やら「マネジメント」やら「マーケット」やら複数ワードについての解説があります。コンセプトと云いつつ大分長い複数ワードで構成されたタイトルの章もあります。主張は一貫しているので後半では内容がかぶる部分も多くありますが、繰り返し出て来ることはそれだけ重要なんだと思いましょう。業務としてマーケティングに携わらない人も、企業に勤めているのであれば著者の本を一読しておくのは損じゃないと思います。

  肝心の生コトラー教授の講演会ですが、臨場感を大切にしようと同時通訳のイヤフォンを持っていたにも拘らず英語のまま聞いたら三割くらいしか理解出来ませんでした。勿体ないけど、生の言葉の感触を聞きたかったので、まあこれはこれで良しとします。大体本書と同じことを言われていましたよ。

 

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| 実用書 | 20:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
「弱くても勝てます 〜開成高校野球部のセオリー〜」高橋秀実

●本日の読書

・「弱くても勝てます 〜開成高校野球部のセオリー〜」高橋秀実/新潮社

 

 あー面白かった。著者独特の淡々としたおかしみ滲む言い回しに何度も吹き出しました。

 本書は、偏差値が高く東大進学率 No.1 の開成高校野球部が甲子園を目指すルポタージュです。開成高校野球部はとにかく野球が下手で普通であれば試合で勝てる筈もないものを、部を率いる青木秀憲監督の独特の打順と独特の指導により、不思議と勝てちゃったりする様を描いています。ゴロはトンネルするし、フライが上がるとぼーっと見て後になって慌てて落下地点に向かって走ったり、キャッチボールで暴投するしで、基本的にみんながみんな異様に下手。ある生徒は「エラーは開成の伝統」と言い切り、「こんなにエラーすると相手が相当油断するじゃないですか。油断を誘うみたいなところもあるんです」とまるで戦略みたいに語る。いや、捕ろうよ。

 ではそんな開成高校野球部の秘密を少しだけ開陳。打順は普通、1番強打者、2番に技巧者、3番〜5番に強打者を置くのがセオリーですが、青木監督は打順を輪だと考え、1番、2番に強打者を置き、以降そこそこ打てる順番に配置。下位打者が出塁した状態で打順が始めに戻ったら「ドサクサに紛れて」大量得点を図る、という戦略です。守備が下手なので点数を取られるのは当たり前、それを上回る得点を一気にもぎ取る作戦で勝ちに行きます。うーん東大の考えることはよく分からん(青木監督は東大野球部出身)。

 しかしその方法論が本書の魅力ではありません。本書の一番の魅力は、著者と野球部の面々の禅問答のような会話です。

――それで野球のほうは成果が上がっているんですか?

 あらためて私がたずねると、彼は真剣な面持ちでこう答えた。

「素振りはやっているんですが、球は前から来るもんですから」

――前から来る?

 当たり前すぎることで、私は一瞬何のことかわからなかった。

「球が前から来ると、素振りと違うんですよね」

 彼の抱える問題は、「球が前から来る」という野球の本質にかかわることだった。

(154ページ)

 野球部でしょ!? 野球部なんでしょ!? なんか色々おかしくない? ……いや、彼なりに野球に真剣に向き合っているからこその問題提起であり、でもやっぱなんつーかおかしい。この会話に限らず、全体的に開成高校野球部の面々は理屈で物事を図り、自分の納得のいく言葉によって言語化されないと動けない。身体を動かすより理論を優先する。それは青木監督も分かっていて、だから指導の言葉が理屈っぽい。この理屈っぽい言葉が開成の生徒には効果があり、だから「ドサクサに紛れて」勝っちゃったりもする。

 この本はもしかしたら、コーチング理論とかセオリーを破ること、着眼点などの参考にするべきものなのかも知れませんが、わたしに取っては会話のおかしさを噛み締める本でした。ちょっと分かりにくい喩えだけど、土屋賢二のエッセイ読む感じ。

 

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| 実用書 | 01:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
「瞬間の記憶力 競技かるたクイーンのメンタル術」楠木早紀
評価:
楠木 早紀
PHP研究所
コメント:競技かるたに興味のある人にお勧め。

●本日の読書

・「瞬間の記憶力 〜競技かるたクイーンのメンタル術〜」楠木早紀/PHP新書

 

 まああれだ、わたしはミーハーなので自分が嵌まると分かり易く関連書籍を買ったりそれのことばっかりやったりするのですが、そう今の嵌まりは百人一首、競技かるた。

 先日、こんなイベントに行って来たんです。

「『ちはやふる』と競技かるたの世界」

そこで、楠木早紀永世クイーンの公演を拝聴し、会場で販売されていた本書を購入したと云う流れでございます。楠木永世クイーンは、中学三年生の時に史上最年少でクイーンとなり、そこから連続 10 回防衛、全ストレート勝ち即ち 20 連勝でクイーン戦引退というものすごい経歴の持ち主で(どれだけ凄いかは色々調べると分かる)、現在 28 歳と云う若き天才です。うん、天才。そして可愛いし、講演の説明もとても分かりやすかった。小学校の先生をやってらっしゃるとのことですが、話し慣れている感じでした。「歴代クイーンは不思議ちゃん」という漫画「ちはやふる」の刷り込みがあったのでどんな方かと構えてたんですけどね。でもこれがかるたの大戦になると鬼のように強いんですよなあ。「ちはやふる」に於ける孤高の高校生クイーン若宮詩暢のモデルとなっているように、強すぎて練習相手を務められる人が徐々に減り、自宅で父と個人練習をしていたというのも驚きます。

 楠木永世クイーンがかるたの勝負の時に努めていたのは、暗記をきっちりすること。競技かるたの場には 50 枚の取り札が並べられ、その配置を 15 分の暗記時間に覚えます。競技かるたの段位が上がっていくと取り札(百人一首の下の句が書かれている)を見ると、決まり字(上の句の冒頭数文字)が「見える」ようになります。訓練により 50 枚の札の配置は 3 分から 5 分で完璧に覚えられるようになっており、札の並びを画像として脳内に刻み込むイメージとのことです。競技かるたは「競技」であるが故に、試合が始まると札は減り、また自分と相手の間を札が移動したりします(「送り札」で検索してね)。つまり最初に覚えた 50 枚の配置は刻一刻と変化する訳で、それをその都度瞬時に覚え直し、読まれる札に耳を澄ませて最初の数音、札によっては子音が聞こえた瞬間、該当する札に高速で手を伸ばし取ります。イベントでは永世クイーンの取りを見ることが出来ましたが、手の動きが見えませんでした。覚えたものを即座に忘れ、また覚え直すのの繰り返しです。それをいかに早く、いかに正確に行うかを練習によって高めたことが本書には記載されています。

 サブタイトルには「競技かるたクイーンのメンタル術」と書いてあり、競技かるたをやっていない人にも応用出来るような記憶術や集中法が書いてはあるにはあるのですが、やはり競技かるたに興味ある人やプレイヤー向けの情報が多いと感じます。むしろ興味ある人が「クイーンてどんな凄いんだろう。競技かるたってどんなんだろう」と思って読むととてもためになる。そして「あー、俺には無理やわ」って思っちゃう(かどうかは人によるけど)。

 わたしは小学生の時に百人一首を 20 首くらいは覚えましたが「ちはやふる」読むまで殆どその存在を忘れており、今年に入ってから子どもが小学校の授業で同じく百人一首を覚え始め、子どもに負けるのが嫌で頑張って 100 首全部を覚えたクチです。覚えた、っつっても上の句を決まり字まで聞いたら下の句をフルで言えるってだけで、下の句(=取り札)を見て決まり字を言うのは出来ません。でも本書にあったように

「みんなが言えない百首を覚えた。ひょっとしたら私は、人より覚えるのが得意なのかも!」

と自己暗示がかかるだけでも、勉強や仕事に良い影響が必ず出てくるでしょう。

との言葉を励みに仕事したいと思います。四十歳目前でも新しいことが覚えられた、と云うのは確かに励みになってるよ(覚えるのに毎日朗詠 CD 聞いて四ヵ月半掛かったけどな!)。

 

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| 実用書 | 17:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
「夢はどうしてかなわないの?」大野正人
●ちょっと前の読書
・「夢はどうしてかなわないの?」大野正人 作・中川学 絵/汐文社


 小学校中学年〜高学年向けの絵本です。三人の子どもたちが冒頭に登場し、活発そうな男の子は野球選手、可愛らしい女の子はパティシエ、眼鏡をかけた男の子は昆虫博士になりたいなあ、と想像しています。この本は、夢をかなえること=人生を過ごすことを冒険になぞらえ、夢を邪魔するものを「悪魔」として描いています。好きなことに夢中になる力こそが、夢をかなえるために最も大事なちからである、とこの本は説きます。彼らは夢への旅に出発します。

 まずそこに登場するのが、新しいことに挑戦するときに恐れを生み出す「ショーキョク」の悪魔。それを倒してチームに入ったり教室に通ったりと新たなことに挑戦した彼らの前に次に現れるのは、失敗体験を思い出させる「オクビョー」。やっても駄目だ、という気持ちにさせる悪魔をやっつけるのに大切なことは「とにかく体を動かすこと」。うん、これは大人にも参考になることだと思います。気の進まない仕事は絶対にあるけれど、放置しておいたらどんどん気鬱になる。そしてどんどん納期がやばくなる。そういう時はえいっと身体を動かせば何とかなったりします。だいじだいじ。

 そう云う、夢への道を邪魔する悪魔をどんどん乗り越えて倒して進んだ彼ら三人ですが、この本何がすごいって、どの夢もかなわないのです。

 夢はかなわない。

 大人が読んだら、「頑張れば夢はかなう」って読者たる子どもたちに思わせるためにも、登場人物の夢がかなう展開になると思うじゃないですか。かなわないんですよ。挫折があったり、越えられない選手に会ったり、自分の限界を知ったり、夢が変わったり。そんなこんなで三人とも、子どもの頃に思い描いていた夢とは異なる職業に就いている。うわー超リアル。

 でも、彼ら三人は自分の就いている職、選んだ道に満足しています。それは彼らが色々な悪魔と出会い、勝ったり負けたり、踏ん張ったり妥協したりしながら、自ら探し選んだ人生を生きているからです。実際にはその職業や人生に満足していない大人も沢山いるでしょうが、彼らは自分の「いま」に満足してる。そこはちゃんと「夢を見させて」くれている絵本だと思います。少し夢が見えかけている子どもを持つ親御さん方にどうぞ。
| 実用書 | 17:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
「何もない部屋」で暮らしたい
評価:
ミニマルライフ研究会
宝島社
コメント:わたしも何もない部屋で暮らしたいの物欲満載だけど

●本日の読書
・「『何もない部屋』で暮らしたい」ミニマルライフ研究会/宝島社


 断捨離が行きつくところまで行きついて、一般人の考える「必要最小限」を更に下回った物量で暮らす十人の方のお宅写真&インタビューをまとめた本です。いわゆる「ミニマリスト」の方を中心とした編成で、その界隈のブログなどをウオッチしている人からするとお馴染みのメンツで固められた本。わたしあそこまでモノ減らせないけど、部屋の写真見てるとなんか自分もそんな部屋に住んでいる気になって満足する。

 わたしは身の回りをすっきりとさせたいとは思っているけれど、思い出と物欲にまみれている自分もまた自分だと思っているので、思い入れの少ない服は減らせても本と CD と写真といつ使うか分からない雑貨が減らせないままで今に至ります。雑貨減らせよ。人のもんはポンポン捨てられるけれど自分のものが捨てられない典型的な「片づけられない女」でございますね。これでも大分捨てられるようにはなったんだけどね。昔は巾着袋一つ捨てるのでも「捨てられるのが可哀想」っつってうじうじ泣いてたから。

 本書に登場する人たちも、過去は捨てられない人たちだったり汚部屋出身だったりと、別に生まれながらにして「片付いた環境じゃないと嫌」って人ばかりではなく、普通の人が多いです。それがどうしてそのようなモノの少ない状態での暮らしを選んだかと云うと、きっかけが東日本大震災である人が数名おられます。緊急の時に必要なものが出てこないことに嫌気が差してものを減らした人、電力制限で掃除機から箒の良さを見直してものを減らしてった人、その分、家に置くものはこだわりのものが多くて、そして無印良品率が高い、そんな人々の部屋の写真を見て、ここまでは出来ないけれどもう少し部屋をすっきりさせたいなあと思って、服を四枚手放しました。結局服か。雑貨をどうにかしろ雑貨を。
| 実用書 | 21:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
「原色 小倉百人一首 朗詠CD付」鈴木日出男 他
評価:
鈴木 日出男,山口 慎一,依田 泰
文英堂
コメント:お買い得!

●小学生父兄に宛てる、本日のお勧め本
「原色 小倉百人一首 朗詠CD付」鈴木日出男・山口慎一・依田泰/文英堂


 競技かるたスポ根少女漫画「ちはやふる」を読んで百人一首に興味を持ったなら、この本すっごくお勧め。「ちはやふる」関係なくても百人一首でかるた取りしたいならやっぱこの本すっごくお勧め。朗詠 CD 付いていて 1,000 円以下の価格って、ものすごくお買い得。買って良かった!

 うちの自治体は小学校三年生から総合科目だか国語だかで百人一首を覚えかるた取りをやらせ始めるのですが、単に意味の分からん「音の流れ」としてしか百人一首を捉えられない小学生が、いずれ「この歌、どんな意味?」と興味を持った時に読んで欲しい、と云う思いで購入しました。いや、嘘。朗詠 CD が安く欲しかったから買いました。そしたら思った以上にいい本で驚いています。全頁フルカラーで各首の訳、古語の文法解説、作者の人となり、情景を示す写真などが載せられており、どのページからでも読みやすいです。巻末には百首の作者がどう云う身の上なのかの家系図も掲載されているし、競技かるたの方法の解説と決まり字別の早おぼえ(語呂合わせ)まで別冊で載ってて「ちょっとこの本子どものために買ったんだけど私の方が読んでる時間長くね?」って調子で読み込んでいます。いい本。

 朗詠 CD は、全日本かるた協会専任読手の芹野惠子さんの読みです。CD プレイヤーでも聞けるし、mp3 形式でも音源が収録されている親切設計。競技かるたの練習にすごく良いと思います。音源について気になる人もおられるだろうと勝手に想定して説明します。

音声データ:100 トラック切るのが無理なようで、最後の 2 トラックには 2 首ずつ歌が収録されています。つまりランダム再生しても完全ランダムにはならない設計ですが、どうしても気に入らない人は 自分でパソコン上でトラック分けして CD に焼き直すか、mp3 データを使え!
mp3 データ:音声データの方にはない、競技かるたの最初に読み上げられる「序歌」が収録されています。序歌を含めて 101 トラック全部が一首ずつに分かれたファイルなので、競技かるたの練習をしたい人はこの mp3 データをポータブルミュージックプレイヤー、手近なところで言えば iPhone にぶち込んでシャッフル再生するがいい!

 元々百人一首のかるたの方は持っていたので、子どもと百人一首の練習をするに際して自動で札を読み上げる朗詠 CD が欲しかったんですね。ほら、わたしが札読んでたら、本気モード出して大人気なく子どもを打ち負かすことが出来ないじゃないですか。でも朗詠 CD って 1,500 円ほどするんか、かるたとセットだと 1,000 円くらいだけどかるたは持ってるしなあ……と思っていたところに出会ったのが本書。冒頭に書いたように、歌を楽しむ観点での解説がメインで、それに朗詠 CD 付いていて 1,000 円切るって、なんてうってつけの本! と即購入しました。今は子どもが毎日、週末の百人一首大会に向けて練習に使っており、母は本気モード出しても勝てなくなりつつあります。自分が手薄な 40 番〜70 番くらいの歌を押さえられているのが痛いっすなあ(詠嘆)。
| 実用書 | 01:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
「ひとつ上のアイディア。」眞木準
●数日前の読書
・「ひとつ上のアイディア。」眞木準/インプレスジャパン


 アイディアの「視点」「論理」「環境」「作法」「経験」の五つの章に分かれた、各界著名人(広告業界に寄り気味)の発想の方法や経験を集めて編集したもの。編者の眞木準も「北海道はでっかいどお」などで有名なコピーライターです。わたしは広告にさほど詳しくないので、アイディアについて語っている本書の登場の方々で名前から知っていたのは佐藤可士和氏と小沢正光氏くらいでしたが(そういや小沢氏の「プロフェッショナルアイディア」読んでるな)、インタビュイーの紹介文を読むと「あ、あのコピー作った人か」などと大体が業績で知っている方々で、読み進めるにつれてめっちゃ豪華な本なんじゃないかと思わされて来ました。

 編者を含めて本書に登場する二十名の方々のアイディア発想法については、結構共通しているところが見受けられたのが興味深かったです。興味深いって便利な言葉ですね。

 共通しているところとして思い出すのが、曰く

・アイディアは会社のデスクの上では思い浮かばない。そのことをひたすら考え続けているとある時全然関係のないところで降ってくる。
・物事の本質を見ることが大切。ある企業、ある製品の広告を作るには、その企業の経営理念や本質を見極めてその要素を入れなくてはならない。
・アイディアを受信するためには、自らのコンディションを良好に保つことが重要。健全な魂は健全な肉体に宿る。

ざっくりですが以上三点。既存のものに何か新しい価値を見出したり、競合製品が多くある中で自社製品をひときわ目立たせるために毎日多くの企業や製品がしのぎを削っていますが、そこで傑出するためには「はやりもの」を手掛けてはいけない(他と差が付かなくなるから)し、企業としてぶれてはいけない。今売れていない商品であれば何が問題かを探り出せば自ずと解決策は見えてくるし、請け負ったクリエイターは常に常に商品やサービスについて考え続けて、抽出した「本当に大切なもの、訴えたいこと」を自分なりの形で表さなくてはならないのです。うん、大変。でも本気ってそう云うことだと思うし、本気にならないといいアイディアなんて浮かんで来るわきゃないんですよね。己を鼓舞するのに役立ちます、異分野ですけど。

 自分は製造業なので、アイデアと云うとどうしても構造に偏りがちで、そういう意味ではこの本も直接的に役立つかと云うとそうでもないのですが、熟考することとか価値判断とか理念とか、そう云う本質に当たるところはどこの業界でもどんな業種でも大切に守って要望をクリアしていかなくてはならないのだ、と云うことは良く分かりました。
| 実用書 | 00:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
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