書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「下町ロケット2」池井戸潤
評価:
池井戸 潤
小学館
コメント:ドラマ、詰め込み過ぎ

●本日の読書
・「下町ロケット2」池井戸潤/小学館


 わたしあの大人気ドラマの結末知ってるんだぜ!

 って言いたいが為だけに二巻を買って一晩で読みました。てゆうかどう考えてもワンクールで一巻分だろ。あのロケットの話、あれがあったりこれがあったりするのを無理矢理五話分で詰め込むつもり? そんで残り半分のこの本の内容をやっちゃうつもり?

 無理だろ。

 ってゆうくらいこの巻も盛り沢山ですよ。一巻はロケット部品お話で特許訴訟や下町中小企業の手作業の技術力を訴えかける非常に男臭い、情熱満載の、月曜日からのサラリーマンを励ます内容でございまして非常に日曜ドラマ向けだと思うのですが、さてこの二巻、ロケット部品とは全く異なるものを作り始めますよ。本日11月14日現在ではロケット部品の次に佃製作所が作る部品が明らかにされておりませんので念を入れて二巻の感想は畳みますね。

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| 国内あ行(池井戸 潤) | 16:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
「下町ロケット」池井戸潤
評価:
池井戸 潤
小学館
コメント:悪いことしようと思ってる人がいないのはいい

●本日の読書
・「下町ロケット」池井戸潤/小学館


 半沢直樹と同じ枠でドラマ化ですよ。そりゃ原作読みますよね。ルーズヴェルト・ゲームは見てなかったし読んでないけど、こっちのドラマは半沢並みにヒットする予感がするので駆け込み読書。因みにドラマは録画して HDD にストック状態、まだ一話も見てないっす。でも原作読了したわたしの本音はと言えば、ドラマを毎週楽しみにしている人の背後で「この話が最後どうなるか知ってるんだよ〜」ってほくそ笑む優越感を感じたいだけです。趣味悪い。

 原作から取得したわたしのイメージでは、主人公の佃社長は堤真一です。映画「三丁目の夕日」の鈴木オート社長みたいな叩き上げ技術者の雰囲気で。とは云え実際の佃社長は研究者崩れなので、阿部寛でいいのかもなあ。それはさておき。

 筋書きは、過去にロケット開発者だった主人公が研究の失敗と父の死を契機にエンジン製作の家業を継いで社長になり奮闘する話です。社長の知識を生かしてこの佃製作所の業績は伸びていたのですが、ある時大口の取引先から一方的に取引を打ち切られ、時を同じくして競合他社である大企業がこちらの所有する特許にいちゃもんを付けてきます。その特許に関しては佃製作所に疑いのない優位点があるのですが、どうやら敵の大企業は訴訟を起こすことで事業を困窮させるのが目的の模様。さてどうする佃社長、主力製品であるエンジンよりも、金にならない水素エンジンへの研究開発費大量投入を不満に思っている社員もいるようだぞ! 足元良く見ろ!

 ってな話です。そしてコトは大企業との知財闘争に留まらず思わぬ方向にロケットの如く進んでいくのですが、困窮した社長の打つ手が毎回意外な手でしかも上手くて、読んでて気持ちいいです。そして脇役の社員もいい。銀行から派遣されている経理部長の殿村さん(立川談春)、技術部長の山崎(安田顕)などは是非とも活字から抜け出して動く姿を見たいっすね!

 真面目な話、知的財産権の主張なり保有・維持と云うのは半端でないお金が掛かるので、個人や中小企業は知財戦略的にはどうしても大企業より不利になりがちだと考えています。そんな中で、自社が先行権を持つ特許に大企業が興味を示してきた場合の中小企業の動き方はと言えばどうしても「権利売却による利益の確保」になるのは無理からぬところ。先行特許の扱いについて佃製作所の取った将来を見据えた結論は、見習うべきところがあります。わたしもいち製造業従事者なもので、ここんところは色々と身につまされると云うか、特許の取り方って大事だよなあと改めて思った次第です。

 あと本書を読んでいて良かったのは、半沢直樹シリーズ(「俺たちバブル入行組」「俺たち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」)には明らかな悪人がいて悪事を隠蔽するために半沢を陥れようとするのですが、この本では利益を求める人はおれど、相手を陥れようとする徹底的な悪役がいなかったのが良かったです(いや、小悪党はいるけどね)。

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| 国内あ行(池井戸 潤) | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0) |
「銀翼のイカロス」池井戸潤
評価:
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ダイヤモンド社
コメント:帯の「史上最大の倍返し」は伊達じゃない

●本日の読書
・「銀翼のイカロス」池井戸潤/ダイヤモンド社


 ドラマ「半沢直樹」シリーズ最新作です、年内に読めたー。帯に「史上最大の倍返し」って書いてあるのは伊達じゃないです。シリーズで一番スケールの大きな倍返しと云うか陰謀暴きと云うか、読み始めたら先が気になり一気に読んでしまう面白さです。安定の半沢。これで暫くは著者も堺さんも食うに困らないね(と下世話なことを言ってみる)。

 冒頭、半沢は上司に呼び出されて帝国航空の再建を任されます。帝国航空には現在東京中央銀行から約五百億円の貸し出しがあり、どうにかこの企業を再建させて資金回収を行わなくてはいけないという難行です。現在は審査部が担当しているこの件を全然関係のない第二営業部の半沢に担当替えするのは、どうも中野渡頭取のご指名らしいと。そこに政権交代が重なり(この辺り、過去に民主党が政権を獲った時を想起させる描写が続きますよ)、なんと新政権の国土交通大臣は私設タスクフォースを立ち上げ、帝国航空に資金を貸与している全銀行に対し、債権放棄を検討せよとの指示を出します。債権放棄っつーのはつまり、借金を棒引きにしろってことで、東京中央銀行から見れば五百億円の丸損です。半沢たち新しい担当チームが検討したところ、帝国航空は社内の膿を出せばどうにか自力再建が可能な状態で、つまり銀行側が貸付金を帳消しにするほどの状態ではありません。

 ここにきな臭いものを感じた半沢は独自の人脈を使い色々と動いて行くのですが、それによって判明する銀行と企業と政党の暗部のスケールが過去最大で、うわーもっとやれ、ってなります。面白い。金融庁のオネエ検査官、黒崎さんも再登場してますよ。

 この作品で気に入った人物は、東京中央銀行と同じく帝国航空に資金を貸し付けている開発投資銀行の担当者、谷川幸代女史です。彼女も銀行と云う多少特殊な企業で、半沢と同じように組織の壁と戦い、相手方の企業の再建に尽力し、また同じ銀行員である半沢とも自社の利益を損ねない程度にやり取りを行いながら同朋意識を抱いて共闘する姿が印象に残りました。頑張れ良識あるバンカー!

 そしてこれは完全にわたし個人のアレなのですが、ドラマになった時に半沢の同期の渡真利くんを、ファンであるところの及川ミッチーが演じておりましたので、作中に渡真利が出てくる度にミッチーの姿と声を当てて読んで仕舞い、超絶にときめいてました。そしてもう一つ話の筋とは全く関係ないのですが、半沢と渡真利が何か情報を共有するのがどっかの飲み屋で一緒にご飯食べながらなのでやたらめったら食事シーンが多く、夜中に読んでいると物凄く食欲を掻き立てられます。特に焼き鳥。

 さて物語は残り五分の一くらいになっても先が全然読めない状態で推移し、最後まで手に汗握る展開が続きます。既刊を読んでいる人であれば読んで損なしの一冊だと思います。

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| 国内あ行(池井戸 潤) | 00:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
「ロスジェネの逆襲」池井戸潤
評価:
池井戸 潤
ダイヤモンド社
コメント:人事が怖くてサラリーマンやってられるか

●本日の読書
・「ロスジェネの逆襲」池井戸潤/ダイヤモンド社


 ご存じ大ヒットドラマ「半沢直樹」原作本の、ドラマになってない続きです。半沢直樹三冊目。これもまた痛快な勧善懲悪話で、ドラマにしたら映えるだろうなあと思います。つーかきっと来年くらいに続編ドラマやるんでしょ?

 舞台を別の会社に移しての半沢直樹の活躍を描いたこの本はタイトルにあるようにロストジェネレーション世代、即ち現在三十代の人々との関わりを中心とした話で、テーマは企業買収。登場人物は先の二作から継続している人も多いので既刊は事前に読んでおいた方がいいと思います。

 タイトルが「ロスジェネの逆襲」なので半沢 VS ロスジェネ世代の話かと思いましたら少々趣が違っておりましたが、そこは読んでのお楽しみ。バブル組・半沢の部下でロスジェネ世代の森山は、仕事にやり甲斐を感じず漫然と毎日を過ごしています。そこに IT 企業、電脳雑技集団から競合他社である東京スパイラルの買収をもくろんでいるのでアドバイザーになって欲しいとの依頼が入ります。大した案も出せず徒に日が経つのを見送る無能な上司、三木に森山は苛立ちますが、何かと態度の悪い彼は買収のプロジェクトチームから外されてしまいます。部長の半沢はこの企業買収になにかキナ臭いものを感じ、同期の人脈を駆使して独自に調べ始めます。

 敵対的買収とかホワイトナイトなど些か懐かしい言葉が登場するので、ライブドアが近鉄の買収で世間を賑わせていた 2004 年くらいの著作かと思いきや 2012 年の出版でした。筋に触れるんで詳細は書けませんが、終盤スカッとする展開もあり読了感は良いです。作中一番の名言は「人事が怖くてサラリーマンやってられるか」です。敵なしっすね。

「金融業界の海堂尊」(とわたしが勝手に呼んでいる)読み進めやすさは健在です。ドラマ化の前に是非お読み下さいませ(と言いつつドラマの脚本はとてもいいので、敢えて読まずにドラマを待つのもいいと思います。ってどっち勧めてんのかわたし)。
| 国内あ行(池井戸 潤) | 19:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
「オレたち花のバブル組」池井戸潤
評価:
池井戸 潤
文藝春秋
コメント:半沢直樹・東京編。ドラマの再現度が凄い。

●本日の読書
・「オレたち花のバブル組」池井戸潤/文春文庫


 大ヒット日曜ドラマ「半沢直樹」後半・東京編原作にして「オレたちバブル入行組」の続編です。ドラマが面白かったので、完結してから原作を読み始めました。てゆうかどうでもいいけど原作の1巻と2巻のタイトル似過ぎてないか? どっちが先か分からんでよ。しかもこのタイトルからあの気持ちのいい勧善懲悪の話が展開されるなんて全然想像出来んし、タイトルで損をしていて勿体ないなーと思っていたら、40代にはこの書名が面白そうに響くんだって、ってどっかのツイッターまとめとかで見てひっくり返るかと思った。そうかなあ、自分とは感性が違うなあ。

 はい、ええとですね、大体ドラマ通りの展開です。いや、順番的にはドラマが原作に忠実なんですね。原作のツボは要所要所で抑えられた脚本となっています。とここまでドラマ見た人向けに話を勧めてきましたので、ドラマ未視聴の方に向けまして粗筋をば。

 バブル期に銀行に就職(入行)した世代は、入行後にバブルがはじけて損ばかりして来た世代。そんな「バブル世代」である東京三菱銀行の半沢直樹は、巨額の損失を抱える老舗ホテルの再建を押し付けられ奔走するが、実はホテルの損失には思わぬからくりと黒幕の存在があった……。

 って、この話のどこをどう捻ったら「オレたち花のバブル組」と云うタイトルに(以下略)。

 銀行用語もさほど難しくなく、テンポ良く進む話でさくさく読めます。面白いです。一般人に馴染みのない専門分野の話を書かせてここまですらすら読ませるのは上手な証左ですね、海堂尊を彷彿とさせます(作家としては海堂さんの方がデビューが後ですな)。

 何にしろ、原作通りのドラマ脚本が良くて、お陰で同期の渡真利君の話し言葉が全部ミッチー・及川光博の声と仕草で脳内再生されてときめいて仕様がなかったので、日本全国のベイベー諸嬢としては買いですよこの本。ええ変態です知ってます。
| 国内あ行(池井戸 潤) | 00:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
「オレたちバブル入行組」池井戸潤/文春文庫
評価:
池井戸 潤
文藝春秋
コメント:ドラマ「半沢直樹」の出来が良い。いい脚本家に当たったなあ。

●本日の読書
・「オレたちバブル入行組」池井戸潤/文春文庫

 今季ドラマ大ヒット作「半沢直樹」原作です。流行に乗っかって読みました。2013年7月7日の初回放映から8月11日放映の「大阪篇」がこの一冊に入っております。ドラマ後半は続編の「オレたち花のバブル組」を元に展開される模様(ドラマが楽しみなので、バブル組も手元にあるけど読まない)。

 著者は元銀行員と云うこともあり銀行の内情は非常に読ませるのですが、ええと、こう言うと申し訳ないのですがドラマの脚本が非常に良くて、原作をほぼ余すところなくカバーした上に独自に脚色した部分があり、その脚色が原作を上回る緊張感を出しておりましてですね、何と言うかドラマの演出の方がいいかも……と思う箇所か幾つかありました。少々ネタばれになりますが、半沢の妻と支店長の妻の交流や、東田の愛人に対する半沢の戦略などの演出は原作にない箇所です。

 てことで「かもめ食堂」同様、映像が原作のビジュアル化に見事成功しておりますので、ドラマ見てから続編原作読むことにいたします。あ、あと楽しんで読んどいてナンですが、タイトルがもう少しどうにかならなかったのかと思います。
| 国内あ行(池井戸 潤) | 23:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
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