2023.05.03 Wednesday
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書評・三八堂のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます
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2009.01.19 Monday
「文鳥・夢十夜」夏目漱石
●本日の読書 2004.12.31 Friday
「こころ」夏目漱石
・「こころ」夏目漱石/岩波文庫:ISBN:4-00-007204-8 本家の日記からほぼそのまま引用。 「座右のゲーテ」の影響で古典に手を出しています。漱石については沢山の大家が沢山の解説・解読を行っていますのであたしの方からは特に解読致さないですが、大きくまとめた印象。 「こころ」はご存知の通り、全体が三部に分かれています。 上・先生と私 中・両親と私 下・先生と遺書 教科書等に採用されている有名は箇所は「下・先生と遺書」に於ける、先生と友人 K との間の話ですね。現国で「こころ」やってる時に必ず流行る言葉、「精神的に向上心のないものは、馬鹿だ」とか「僕は馬鹿だ」が出てくるのが此処。っても分かるんですよ教科書が此処を採用する理由。第一部も第二部も正直面白くない。先生と私を繋げる為に些か強引な状況や心情描写があったり、第三部への伏線と先生への心酔を描く為に第二部を設けたようにしか思えなかったりと、全てが渾身の第三部へと続く為の文章としか思えない訳です。高橋源一郎「日本文学盛衰史」によると、こころは一文を除いて無駄な文章は全く無く素晴らしい完成度の小説と云う事になるのですが、あたしはまだその境地まで読み込みが出来ません。 しかし確かに漱石は凄いです。明治の文学ですが非常に魅力的な文章で、大層美しいです。何百年経とうとも、我々は文学と云う領域に於いて明治の主題を飽きず繰り返しているだけだと思わされます。畢竟人間は変わっていないと云う事なのか、はたまた其処に文学の限界があるのかは分かりませんが、来年も小説に触れ続けて行こうと思います。 1/1 |