書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎
●本日の読書
・「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎/新潮文庫 ISBN:4-10-125021-9


 伊坂は良いと言われていたのと、吉川英治文学賞を取ったと云う事でオーデュボン。或る種のファンタジーでありまたミステリでもあると云う、少し珍しい感じの作品でした。舞台は現代日本。未来が見えると云う喋るカカシが殺されたが、彼はどうして自分の死を予言出来なかったのか? その謎を軸にして、妙な農村の妙な人物達がとりどりに入れ替わり立ち替わり主人公に関わってくる。島の言い伝えも絡んで、ほつりほつりと謎の答えが見えてくる、と云う作品。あれだけの長い作品をさっくり読ませる手腕は見事です。キャラクター造形が上手い。

 少し内容に触れる事は「追記」に書きました。ネタバレはしていないのですが、少しだけ先入観を持って読んでいい人、どうぞ。

 自分に取ってはのめり込んで全著作を買い集めると云う程ではないけれど、結構気に入りになりました。薄曇りの休日とかに読みたい雰囲気です。
 内容に触れない程度に構成を考えてみると、思うに舞台となる荻島は現代日本に属し乍ら完全にファンタジーな世界であり、作者がわざわざこの世界を作ったのは、醜い話を醜くなく魅せる為だと思います。同じ状況を我々が住む世界でやると絶対に醜くて汚くてどう仕様もない物語になるのが想像出来るし、排除が困難な禍々しいものを禍々しくない様に決着つけるのが難しいし、現代社会に於ける様々な制約があるし、何よりバックグラウンドに流れている「島の言い伝え」の謎を美しく配置する事が出来ない。そう、主人公のキャラクターに負う所も多いのですが、全編を通して静かで綺麗なんですねこの話。殺人を扱っているのに寧ろ爽やか。

 この爽やかさが、伊坂幸太郎の持ち味なのでしょう。読まない人にこの感覚は説明しにくい。
| 国内あ行(伊坂 幸太郎) | 20:47 | comments(0) | trackbacks(1) |
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『オーデュボンの祈り』
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| 月のブログ | 2006/04/30 10:47 PM |