書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「野ブタ。をプロデュース」白岩玄
●本日の読書
・「野ブタ。をプロデュース」白岩玄/河出書房新社 ISBN : 4-309-01683-9


 ハードカバーではなくて、初出の「文藝 冬 2004」で読みました。だもんで出版の時に改稿されているかも判らないのですが、うん、面白かったですよ。

 既に色々な処で取り沙汰されているように、文章表記上気になる点は幾つかありました。まず、そんなに小説を読みつけていないのか文章は荒いです。一番気になったのは「なんの勝負だよそれ(笑)」のように、会話文に(笑)マークが入っている事。記号を使わないと笑いが起きている事を伝えられないのかと思って仕舞います。

 ちょっと脱線しますが、元々「(笑)」と云う表現は、雑誌での対談、鼎談など、会話のみで構成される記事で笑いが起こった事を表現する為の手法でした。つまり、地の文で状況の説明が出来ないと云う縛りがある場合のみに許された表現である訳です。その手法が小説と云う、幾らでも状況を説明出来る文章表現形態中で使用されると、読者に覿面に違和感を与えて仕舞うのです(自分が感じたもんでね)。もしかしたらいずれこの表現がスタンダードになるかも知れないのですが、現時点ではこの作者のこの表現方法が一番気になりました。

 さて、小説の話に戻りましょう。小説の運び方は気持ちが良いと思いました。「嫌われ者のデブな転校生を人気者にする」と云うフックがまずあり、その計画を実際に運用して「上手く行くか? 行くのか?」と先を気にさせます。設定勝ちとでも申し上げましょうか。で、主人公は本当の自分を見せず、学校では「求められる自分」を演じて居ると云う、個人的には非常に良く判る性質で(大学時代、俺も着ぐるみショーやってたようなもんだったしな)、それが、野ブタ(転校生あだ名)をプロデュースする途上で段々と変化して行く様が見物です。

 偉そうに書きますが、発想力とストーリーテリング力はある作者なので、もっと沢山書いて文章がこなれると、もっと面白い作家になるのではないかと思いました。
| 国内さ行(その他) | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
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