書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「海に落とした名前」多和田葉子

評価:
多和田 葉子
新潮社
¥ 1,575
コメント:不時着した飛行機に乗っていた女性は記憶喪失。手元のレシートだけが彼女を彼女たらしめている。
●本日の読書
・「海に落とした名前」多和田葉子/新潮社 ISBN:4-10-436103-8


 多和田葉子の小説は「不思議な世界」とか「独特の雰囲気」とよく評されるのだが、そう簡単に良く分かる言葉で評していいのかなあと云う思いもわたしの中にある。「不思議」だからどうである、「独特」だからどうであると、その先に踏み込んで受け止めなければならない何かが、その文章の中にあると感じた。

 などと書きつつ、「文字移植」(河出文庫)は途中で挫折しているのだが。

 本作品は四つの短篇で構成される。冒頭の「時差」は、段落が変わるごとに三人の語り手が入れ替わり立ち代りする構成だが、割とすんなりと読めた(ゲイの話だが)。二篇目が非常に前衛的な小説で、何を表現したいのかわたしの読解力では読み取れなかった。なにしろ、本文中に主人公の行動選択肢が設けられているのだ。

 「土木計画」は飛ばして、表題作の「海に落とした名前」。これが非常に印象深い作品である。不時着した飛行機に乗っていた女性は記憶を失っており、手元に残されたレシートだけが彼女を彼女たらしめている。その彼女の担当医師の甥と姪がそれぞれ病室を訪れてなにくれとなく彼女の世話を焼くのだが、この兄妹がどうも怪しいと云うか胡散臭いと云うか、裏事情がありそうな雰囲気。記憶が戻るかどうかなど、些細な問題である。
| 国内た行(その他) | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
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