書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「書きあぐねている人の為の小説入門」保坂和志
評価:
保坂 和志
中央公論新社
¥ 700
コメント:日常を描いた作品を生み出す著者による、新しい小説論

●本日の読書
・「書きあぐねている人のための小説入門」保坂和志/中公文庫


 別に書きあぐねている訳ではないですが。文章読本や小説論が好きなのです。

 著作も読んでいないのにいきなり小説論から入りました保坂和志。しかも申し訳ないことに負の先入観を持って読み始めましたから自然辛口になりますごめんなさい。どうして読んだこともない作家を負のイメージで見るかと云うと、我らが車谷長吉先生が「漂流物」で芥川賞にノミネートされ、「内容が暗い」と云う世相を鑑みた不当な理由で落とされた時の受賞作が著者の「この人の閾」だったため、車谷氏が別の著作で保坂和志のことを結構ぼろくそに書いていたからです。まあそれ自体は長吉っつあんの八つ当たりだと思うんですけどね。

 で、実際著者の文章を読んでみた感想ですが、やはり私には合いませんでした。なんつーか、うーん、全体的にすかしている感じの文で、なんかこう、さりげなくお洒落でそれを自負しているんだけれど「見る人が見れば分かるんだけど、そんな目利きは僕の周りにはいないよなあ」と嘆いている中年男性と会話した時のような、自分との噛み合わなさを感じます。

 小説論自体は、確かに今まで私が読んできた、技術的な向上を目指したものとは異なっていて、そこは素直に評価出来ます。具体的には、小説を書くことで著者は一作ずつ力量を上げて行くべきで、そのために自分に実現したい困難を課して考えて考えて完成させねばならないとか、ストーリーの面白さで走る小説を否定することとか(でも筋書きの面白さは読者を牽引する力になると思うんだがなあ)、物語は回想を入れないで時系列で展開させていくべきとか、今まで「小説そうあるべき」と思っていたことが尽く却下されていくのは面白かったです。

 しかしやはり、自分と村上春樹やドストエフスキーやトルストイを並列に並べて論を展開していくのは、読んでいてどうも居心地が悪かったです。あと著作を読んだことが無いので、文庫版に収録された過去の小説の創作ノートも分からない部分が多くて、でも逆に言えばファンなら買いの一冊です。

| 国内は行(その他) | 10:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
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