書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
「螺鈿迷宮」海堂尊
評価:
海堂 尊
角川書店
コメント:終末期医療を行う桜宮病院に白鳥圭輔が潜り込む

●本日の読書
・「螺鈿迷宮(上)(下)」海堂尊/角川文庫


 先に海堂作品を読んでいる旦那の評価としては、この「螺鈿迷宮」は飛ばしてもよい作品とのことでしたが、どうせ所持しているなら刊行順に読み進めたい頑なな私はそれに逆らって読んでみました。因みにその他の「飛ばしてもよい作品」は「ナイチンゲールの沈黙」で、これは確かに「ジェネラルルージュ」と対にするにはトリックに走り過ぎていて、飛ばしてもよい作品でした。

 下巻は一日で一気に読みました。ええ、面白かったですよ。読んで良かったです。今回の題材は終末期医療。いつもの舞台、桜宮市で終末期医療を一手に引き受ける桜宮病院で、お馴染み厚生労働省の白鳥圭輔が暗躍します。

 桜宮病院は終末期、つまりは回復の見込み泣く死を待つだけの病人を雇用して役割を与え、労働させることで生きがいを与えて余命を引き延ばすという画期的な試みを実践しています。この桜宮病院で立て続けに入院患者が亡くなり、それは終末期の患者であるからあり得ることではありつつも、何か不自然であるということで、諸々の事情で潜入捜査せざるを得なくなった医学部生・天馬大吉がボランティアとして潜り込みます。

 大落ちは読めたのですが、ここで再度強調したいのは、海堂尊が一連の作品を通して訴えたいことです。この人はミステリーも好きなんだと思いますが、医療に対する国の施策や医療現場の辛さを作品を通して一般人(患者にもなり得るし、医師にもなり得るし、役人にもなり得る人々)に啓蒙したい、もっと考えて問題提起して欲しいと思っていると想像します。

 終末期医療は難しい問題です。自宅で最期を迎えたいと思う人は多くとも実際には殆ど全ての病人が病院で最期を迎えます。国の施策で老人医療や終末期医療では金儲けを出来ないようになり、結果、病院はそれらのことに力を割かないようになっているそうです。ミステリとして読むより、これを入り口にして新聞を読むのがいいんじゃないかなあと思います。

| 国内か行(海堂 尊) | 12:16 | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | 12:16 | - | - |









http://38-do.jugem.jp/trackback/458