書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「ざらざら」川上弘美
評価:
川上 弘美
新潮社
コメント:「クウネル」に連載された掌編小説23編を収める

●本日の読書
・「ざらざら」川上弘美/新潮文庫

 川上さんの本を久し振りに読んだのだけど、ちょっと力が抜けているというか、軽すぎる感じで、確かにそこに展開しているのは川上ワールドなのだけれど、わたしの好きな川上さんの小説・うそばなしは、もうちょっと芯の通った、行間に言葉が詰まった、群青色みたいなものなので、正直に言えば楽しみながらも少しがっかりして読み進めていました。掌編小説が二十三編収録されています。

 解説を読んで、このほろほろしたもろい感じの小説群が「クウネル」に連載された読み切りものを集めたものだと知って、納得しました。そうか、クウネルか。それならこう云う雰囲気になるのも無理はないな。クウネル誌上で読んでいたら、とてもよく収まるに違いないです(クウネルは嫌いではないです。たまに書店で立ち読みします)。

 この本で好きなところを挙げると、それぞれの小説のタイトルです。小説のメインモチーフではなく、その脇のちょっと目立たない所に置いてあるものがタイトルに選ばれていて、そのセンスが抜群です。一番好きなタイトルは「月火水木金土日」。多分普通のセンスなら「籠」とか「あけび」とか「小箱」なんて云う全く印象に残らないタイトルにするところを「月火水木金土日」ですよ、素晴らしい(さて、どう云う話でしょう? 一冊通してこの話が一番好きです)。

 川上さんの本領発揮は「真鶴」なので、最初に手に取る川上弘美本としてお勧めはしませんが、するする読めるので気持ちのいい本でした。因みにわたしが一番好きな川上さんの小説は、不動で「神様」です。

| 国内か行(川上 弘美) | 02:20 | comments(0) | trackbacks(1) |
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川上弘美
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