書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「黄金旅風」飯嶋和一
評価:
飯嶋 和一
小学館
コメント:鎖国直前の長崎で、海洋商人末次平左衛門が民を守るため立ち上がる

●本日の読書
・「黄金旅風」飯嶋和一/小学館文庫


 あのね、飯嶋先生の小説は本当に面白いの。途中しんどかったりするけれど面白いの。何が面白いって主人公が強くて頭良くて悪い人を懲らしめるから読んでて頑張れ頑張れってなるの。

 と阿呆い書き出しで始めましたが、久しぶりの飯嶋作品読了に清々しさを覚えておる真っ最中です。舞台は鎖国直前の長崎、主人公は長崎代官であり貿易商人の末次平佐衛門。この平佐衛門が真っ直ぐで、長崎の民を守る為に全力を尽くす物語です。

 鎖国直前の長崎は、徳川幕府の思惑、配置されている大名・奉行の思惑が入り乱れ、またそれとは別のところで幸せを求めて暮らす長崎町民の思いが混じっています。そしてそれらに深い影響を与えているのが、当地に以前から入っているキリスト教の教え。一世代前まではキリスト教が広く教え説かれていたにも関わらず、それによって民が平等思想を得るに至って幕府の危機感は増し、遂に禁教と弾圧が始まります。それぞれの立場であるものは利益を、あるものは幸福を、あるものは信教を、あるものは大義を目指して物語は進みます。

 飯嶋作品の特徴と言えばここで書くまでもなく徹底的に資料を調べ上げて構築された緻密な歴史大河小説であることですが、比較的勧善懲悪色が強いながらも善人も作中で容赦なく死んだり殺されたりするのが思うに侭ならない現実を思わせてリアルです。善人が報われて欲しいと云うのは読者の思いだけど、実際にそう上手くことが運ばないことを我々は知っているし、また上手く運びすぎると読んでいて楽しいかも知れないけれど嘘っぽいなとも思います。ネタバレは避けたいので詳細は書きませんが、生きていて欲しい人が物語から退場したり、正義のための行動が上手く働かなかったりといった困難を乗り越えて、平佐衛門は長崎の民の幸福のために闘います。歴史小説に馴染みのない方は最初読みにくいかと思いますが、一読をお勧めします。
| 国内あ行(飯嶋 和一) | 00:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
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