書評・三八堂

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「ゲド戦記(2) こわれた腕環」ル=グウィン
評価:
アーシュラ・K. ル=グウィン
岩波書店
コメント:エレス・アクベの腕環のもう半分を探し、ゲドはアチュアンの墓所で大巫女の少女、アルハと出会う。

●ちょっと前の読書
・「ゲド戦記(2) こわれた腕環」アーシュラ・K・ル=グウィン作 清水真砂子訳/岩波少年文庫

 前巻がゲド少年期〜青年期の話とすると、今巻はゲド青年期〜壮年期の話です。しかもゲド本人は物語の中盤まで全く出て来ないと云う、ハリーポッターを期待している方には非常に不親切な物語の第二巻です(繰り返すが、わたしはハリポタ未読。イメージで書いてます)。

 うん、暗い、相変わらず暗いし、魔法でちゃちゃっと解決しないし、自然に逆らわないように生きてるなあ。でもこう云うファンタジーは結構好きです。「風の谷のナウシカ」(原作の漫画全七巻の方)と似た自然との距離感ですな、異論はあるかも知れませんが。そもそもこの世に魔法があるとしてもそれは等価交換であったり、自然の力を少し借りると云うものであろうと考える自分にとっては、この物語の魔法スタンスがしっくり来ます。

 物語は唐突にゲドと無関係な少女から始まります。前半は、歴史ある、と言いつつ若干形骸化している印象の否めない大神殿の大巫女に選ばれた少女テナー・巫女名アルハの生い立ちと大神殿での暮らしが訥々と語られます。大神殿には巨大な地下迷宮があり、退屈な大巫女生活の合間に聞き覚えで地下迷宮の探索を進めるアルハの前に、ある日侵入者と云う形で男が現れます。それが誰あろうゲドその人なのですが、ゲドが現れてからの急激な物語の動き方は、多少冗長に感じる前半の地下迷宮とアルハの心境描写があっての賜物と思います。そしてゲドは力のある魔法使いですが、結構命の危険に晒されていて、少しでもタイミングを誤っていたり言葉の選び方を間違っていたらあっさり死んでいたのではないかと思われるぎりぎり綱渡りっぷり。魔法使いも万能じゃないのよ、と云うのが人間くさくていいじゃないですか。

 ゲドが迷宮を訪れた理由が、前巻で少しだけ登場した半分に割れた腕環、「エレス・アクベの腕環」なのですが、この重要アイテムの登場の仕方が(前巻でも)あっさり書かれ過ぎているので「これってそんなに重要だったの? 良く捨てられなかったなー」と妙な感心をしました。普通、こう云う世界を動かす系のアイテムって、もっと重々しく、歴史も伝説もしこたま持ってたりするもんなんでしょうが、このエレス・アクベの腕環に関しては敢えてそう云うごてごてを取っ払ったのかと思えるほどの簡潔な生い立ち。しかし結末にはちゃんと影響を及ぼします。

 読後感はいいです。外伝でテナー再登場との事らしいので、楽しみにしています。

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