書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「脳はなにかと言い訳する」池谷裕二

●本日の読書
・「脳はなにかと言い訳する 〜人は幸せになるようにできていた!?〜」池谷裕二/祥伝社

 主に「VISA」連載の短いエッセイに解説(エッセイ本文の三倍から七倍くらい)を足した一冊。久し振りの池谷本でしたが、相変わらず脳の働きについての語り口は分かりやすいです。福岡伸一にしろ池谷裕二にしろ、難しいことを平易に解説出来ると云うのはとびっきり頭が良いと云う事ですな。

 この本で知った脳の働きに付いてとりわけ驚いたのは11章「脳はなにかとウソをつく」。脳波のゆらぎが人間の選択や自由意思(と思われている行動)を決めており、人間に真の意味で自由意思はないのではないかとする箇所です。単語テストでの実証では、被験者に単語カードを見せてそれを記憶して貰います。時を改めてまた単語を見せ、それが先ほどの単語カードセットに入っていた単語かどうかを言い当てる実験です。記憶している、していないと云うことが重要である筈のこの実験、なんと「問題を出す前に」脳波を見ればその人が正解するかどうかが分かると云うことなのです。意味分かります? 「問題を出す前に」正解するかどうか分かるって常識ではおかしいでしょう。ですが実際は人間の脳波がある状態にある時に単語を示すと答えられますが、そうでなければ答えられないとのことなのです。つまり記憶力は脳波のゆらぎが影響していて、一見自由意思に見えることは、脳波のゆらぎの状態によってあっちを選ぶ、こっちを選ぶと結果が振れていた、ということだそうです。驚き。

 このことが最も私の心に残った脳の働きなのですが、全26章余すところなく脳の不思議な働き、知らなかった活動が分かりやすく(ここ重要)解説されています。元引きの論文リストもまとめられていますので(英語ですが)信頼性は高いです。

 個人的には糸井重里と共著の「海馬」の方が論点を絞ってあって好きですが、脳科学への興味を満たす本としては十分、いや十二分な内容なので、科学エッセイ好きな人にはお薦めです。

| 国内あ行(その他) | 06:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
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