書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「幼年期の終り」アーサー・C・クラーク
評価:
アーサー・C・クラーク
早川書房
コメント:傑作SF

●出張中の読書
・「幼年期の終り」アーサー・C・クラーク/ハヤカワ文庫SF


 業務出張中に何をしていたんだと云う叱責は甘んじて受けます、申し訳ありません、移動中に本読んでました。

 あああ、SF ってすげえなあ。

 SFを読んだのは初めてではありませんが、ハインライン「夏への扉」とJ・P ホーガン「星を継ぐもの」の二冊だけで、宇宙と人類の関係を圧倒的な想像力で描いたこれだけスケールの大きな作品は初めてでした。そんで読み終えて打ちのめされて呆然となっていますデルタエアラインの中で。原題は「CHILDHOOD'S END」で昔(うちの父親が SF にのめり込んでいた約三十年前)の版の邦題は「地球幼年期の終り」。これはこれで恰好良いし、「地球」付いていた方が内容に即している気もしますが、先入観なく読み進めるには現在の邦題の方がいいのかも。

 物語は、地球の上空に突如として現れた巨大宇宙船団により幕を開けます。乗員の姿は見えないながらも地球文明とは比べものにならないほど圧倒的な科学技術力を持つその宇宙人らは、流暢な英語で人類に語り掛け、地球の平和的な支配が始まります。彼らは不必要に地球に干渉せず、しかし最低限の手出しで地球を平和に導き、数十年の後には地球は理想郷・ユートピアへと変貌を遂げます。彼ら宇宙人は何者か、果たしてその目的は何か、そして地球は、人類はどこへ向かうのか。平和ならいいじゃん、で済まされない巨大で圧倒的な何かが背後に見え隠れします。

 物語の構成は「地球と上帝(オーバーロード)たち」「黄金時代」「最後の世代」の三部構成ですが、やはりそのクライマックス「最後の世代」は圧巻です。何が圧巻かについて細かく書くとネタバレに繋がりそうなので書きませんが、人類はいつか「幼年期」を終えるのかもしれません、現実にも。等と書きつつ、読書中一度だけ涙したのは最初の「地球と上帝」の終わり場面でした。あそこはねー、たまらんよ、うん。

 わたしはいわゆる現代小説、人間の行動やら感情やらを丁寧に描いて心に響く文章が好きなのですが、SF を読むことはそういった小さな関係の細々した出来事を丁寧に辿る読書ではなく、自分の想像の遙か上空をものすごい勢いで動いていくようなドライブ感があります。更に色々な予想外の物語を読みたい気持ちにさせられます。かといって SF が、つとにこの作品が人間の感情をお座なりにしている訳では決してなく、寧ろアーサー・C・クラークの文章は壮大な力に相対する人々を活写して非常に品があります。もう何と言うか、どうやったらこんな発想が生まれるのか空恐ろしい限りです。クラークの作品は確かな科学技術の知識に裏打ちされているとの定評があるのを、正に体験いたしました。
| 海外(その他) | 01:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
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