書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「天地明察(下)」沖方丁
評価:
冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)

●本日の読書
・「天地明察(下)」沖方丁/角川文庫


 あああー「光圀伝」も買っとけば良かったー、Kindle の角川書店本 70% OFF の時に!

 と云うことで面白かったです「天地明察」。どれくらい面白かったかと云えば、映画化した同作を借りに TSUTAYA に走ったくらい。上巻で打った布石が下巻で効果を発揮すると云う流れが、春海の碁打ちと云う職業にシンクロしてとても気持ち良く読了しました。

 春海は二十代から三十代に掛けて積み上げてきた天体観測と暦についての仕事の集大成として、天皇に改暦を上申します。八百年でズレが生じて使いものにならなくなった今の暦から、より正確な授時暦への切り替え。改暦は日本国中の農業、宗教、経済等に多大なる影響を及ぼすため、おいそれと切り替えは出来ません。新しい暦、即ち授時暦の確かさを証明するため春海は二つの暦で蝕の予報を照らし合わせる五番勝負を行います。

 北極出地で日本全国を巡り歩いた時の師である建部、伊藤の夢を引き受け、神道の師である山崎闇斎の教えを守り、自分を見い出し引き立ててくれた保科正之と水戸光圀に報いるため、春海は人生を賭けた勝負に出ます。

 青春小説であるためか、春海の晩年はさらっと、本当にさらっと流されるだけでちょっと食い足りない感じもしました。が、人間にはきっと人生で一番の「勝負時」があり、彼の場合はそれが壮年期だったと考えればこれでいいとも思います。とにかく、気持ちの良い小説でした。
| 国内あ行(沖方 丁) | 19:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
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