書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「ビブリア古書堂の事件手帖5」三上延
評価:
三上 延
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
コメント:今回も安定のクオリティ

●本日の読書
・「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜
」三上延/メディアワークス文庫

 いつの間にか五巻を数えるまでになったビブリア堂。栞子さんと五浦君の恋愛関係にも微妙ながら動きが見えてきたところに、長く失踪していた栞子さんの母親(ラスボスポジション)の姿も見え隠れしてきた……と云うところが四巻までのざっくりした粗筋です。ざっくりしすぎ。さて四巻は一冊で一つの謎を解くシリーズ初の長編形式だったのに対し、五巻は通常通りの中編集です。謎の鍵となる今回の古書は、古書情報誌「彷書月刊」のバックナンバーと手塚治虫の「ブラック・ジャック」、寺山修司のデビュー作「われに五月を」の三本です。

 謎解きの品質は安定しており、キーとなる古書雑学もミステリとしての伏線も上手いこと張られていて平均点高いです。1巻から読んでいる人は続けて読みましょう。

 今巻でたまたま印象に残ったことが二つあるので書きます。一つ目はイラストです。シリーズの売り上げに間違いなく貢献している越島はぐ氏のイラストですが、この方は可愛らしい人物絵のみでなく、風景画もとても上手ですね。既刊でも扉絵は見ていたのですが、五巻のモノレール停車駅の絵がとてもきちんとしていて、人物画は得意でも背景を描かせると「?」な絵描きさんも多い中で、感銘を受けました。

 二つ目は寺山修司です。高校生の頃に「家出のすすめ」を読みましたが、重度のマザーコンプレックスが反映された気持ちの悪い随筆と云う印象しか残りませんでした。それがビブリア堂で「われに五月を」の抜粋された部分を読むと、とても瑞々しい表現に全ての言葉がきらめいていて鮮烈な作品だったのです。驚きました。二十年目の再会です。もう一度、寺山修司に出会い直してみたいと思いました。
| 国内ま行(三上 延) | 10:53 | comments(1) | trackbacks(0) |
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長く読んでいたい私としては、
少し足踏みみたいな感じはするのですが、
とてもうれしい内容でした。
すべての話がよくできていて私は好きです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
| 藍色 | 2016/10/17 11:44 AM |









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