書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「短歌ください その二」穂村弘
評価:
穂村 弘
KADOKAWA/メディアファクトリー
コメント:日常を切り取るために

●本日の読書
・「短歌ください その二」穂村弘/メディアファクトリー


 雑誌「ダ・ヴィンチ」誌上で連載されている短歌コーナーのまとめ本第二弾。連載第 31 回から 60 回をまとめて一冊にしたものです。雰囲気としては一冊目とさほど変わりはないのですが、あとがきによれば投稿者の中から歌集を出す人が出たり、全体として投稿者のレベルが上がっているのが感じられます。「この歌いいなあ」と思ったらよく見る投稿者の名前だったりして、前巻から読んでいると誰かしらのファンになったりしていたりする身近感が特徴でしょうか。

 一定レベルを超えて誌上に掲載された短歌が並んでいるので、沢山の短歌を読み比べたい人には向いた本だと思いますが、「短歌を詠んでみたいなあどうやるのかなあ」という人は別の短歌入門の本から入った方がいいように思います。投稿者の年齢層は十代から四十代くらいなので、若い方が同年代の人の現代短歌を沢山見ることが出来るのはいいかな、と思います。わたしもコア世代です。

 選者たる著者のブレない価値観として「怖い歌はいい歌」と云うのがあります。日常生活に「あれっ」と云う違和感を感じたとき、それを短歌にしてまとめたら、他人が気付かなかった「怖さ」を醸し出すことがあり、それがいい短歌である、と云うことです。それに気付くことが出来る感性を持つ人が(短歌に限らず)創作に向いているんですね。自分もそう云う感性があれば(または磨くことが出来れば)いいなあ、と思います。で、もう一つ重要なのが臨場感です。読み手に「あるある、こう云うこと」と思わせる情景を切り出しながら、そのありふれた描写を「この視点で攻めるか」「そう表現して来たか」と意外性を持った結句で締めた短歌の評価が高いです。食事中の風景を詠んだ歌と思っていたら結びに妙な言葉が入っていたりとか、急にマクロな視点・ミクロな視点に移ったりとか、自分を意外なものに喩えてみたりとか……。要はセンスです、センス。うう、一番わたしに無いものだ。

 あとは、繰り返しの言葉や音など、読んだ時のリズムも大切です。小説でもそうですが、言葉を尽くして長く書くことも労力が掛かりますが、短く適切な言葉でものごとを表現して感動を与えると云うことは非常に難しいことだと、短歌関連の本を読んでいると何度となく思います。日本語の総合芸術だなあ、うん。
| 国内は行(その他) | 15:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
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