書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「はるかなる地球帝国」マリオン・ジマー・ブラッドリー
評価:
マリオン・ジマー ブラッドリー
東京創元社
コメント:SFでファンタジーでジュブナイル

●本日の読書
・「はるかなる地球帝国」マリオン・ジマー・ブラッドリー/創元推理文庫

 ダーコーヴァ年代記二冊目。面白かった! 「惑星救出計画」より面白かったです。ちょっと誰かこれ映画化して下さいよ、きっと世界でまだ誰も手ぇ付けてないよダーコーヴァ。

 恒星カタログにしか名前が載っていない、地球から遥か離れた惑星ダーコーヴァ。DARKOVER、即ち「闇のとばり」と名付けられた星に今、少年ラリー・モントレーは降り立ちます。父の赴任に随行して異星で暮らすことになったラリーはダーコーヴァでの生活をとても楽しみにしていましたが、何かと文化の違う二つの惑星の住人は諍いを避けるために必要最低限の交流しかしておらず、自由に街を歩くことすら出来ない現実を目にして彼はフラストレーションを溜めていきます。ある日、柄の悪いダーコーヴァ人の一団に因縁を付けられたラリーは自力で彼らに勝利し、ダーコーヴァ貴族の息子ケナード・オルトンに認められ、オルトン家との交流を許されます。

 と云うのが冒頭部のあらすじですが、読了後は「あー、そんなこともあったなあ」と小さな出来事を懐かしく思い返すくらいの、これはほんのささいな事件です。この後のラリーとケナードの身の上に起こる出来事と言ったらもう冒険に次ぐ冒険で、陳腐な言葉ですが非常にエキサイティングな展開となっております。二人は友情によって結ばれつつも、お互い自分の民族を誇りに思う故に主導権争いを繰り返し、それを乗り越える精神的成長によって友情を
篤くしていく展開が魅力ですよ!

 地球人のラリーは芯が強いながらも無謀ではなく、自分の力量をわきまえた機転の利く少年です。対するダーコーヴァ人のケナードは貴族出身で高慢ではありますが好奇心旺盛で賢く、体力や戦闘能力に秀でた少年です。ケナードはダーコーヴァ人のローカルアドバンテージと鍛えた身体でラリーを助け、ラリーは地球で学んだ科学と文明の利器でケナードを助けます。頭脳派と武闘派のバディもんかっつったら全然そうではなく、少年たちがお互いへの信頼を糧として共に成長していく冒険ジュブナイルと云う方が的を射た紹介になると思います。

 ダーコーヴァには七つの貴族の系統があり、それぞれがテレパスなどの超能力を持ち、惑星を統治しています。そう云った基礎知識がないままいきなりこの本から読んでも大丈夫です。超能力のことやコミンの統治システム、ダーコーヴァに住む特殊な生き物(「惑星救出計画」に出て来るトレイルマンとか)の生態などは文中でちゃんと説明されます。むしろ本文中で雲を払うように少しずつ地球とダーコーヴァの来歴が語られ、この壮大な世界をもっと知りたくなること請け合いです。本文 260 ページあまりの比較的薄い本ですが、簡潔な言葉で次から次へと状況が変わるのですごく長い本を読んでいる気持ちになります。彼らの物語の続きはありませんが(ケナードは別の話で再登場しますけどね)、早くこの世界の別の物語が読みたいです。
| 海外(ブラッドリー) | 15:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
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