書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「炎の神シャーラ」マリオン・ジマー・ブラッドリー
●本日の読書
・「炎の神シャーラ」マリオン・ジマー・ブラッドリー/創元推理文庫


「ダーコーヴァ年代記」第四巻です(刊行順)。今まで読んだ中で一番構成が良かったと思います。ミステリ的な面もあるし、キャラクターの描写もいいし、ファンタジーSFとしても読み応えありました。

 ダーコーヴァ年代記はシリーズと銘打っているものの世界観を共有しているだけで基本的に話は繋がっておらず、たまに過去の主役級登場人物が脇役として登場するだけのゆるいシリーズです。またファンタジー/SFに分類されますが、ダーコーヴァ人が不思議な力を使いこなす為にその区切りに入れられているだけで、登場人物の人間味溢れる行動は現代小説と殆ど変わりません。

 と云うところまでが前説です。地球人ダン・バロンはダーコーヴァの宇宙管制官ですが、最近誰とも知らぬ声が頭の中に響きわたる白昼夢に悩まされています。その為に管制官としての仕事を誤り、危うく宇宙大事故を引き起こす寸前のことをしでかし、仕事を首になります。そして新たにダーコーヴァ人に顕微鏡や望遠鏡の作り方を教える仕事を与えられます。他になり手のない地味な閑職で、つまりは体のいい左遷です。白昼夢に現れる女性、炎の神シャーラ、と云うのが何かのキーになる存在のようです。

 一方全く別のシーン。山の民ストーン家はブライナットと云うならず者の軍団に攻め込まれ、城を占拠され長男である領主は昏睡状態、長女はブライナットに犯され、跡継ぎの次男は地下牢に幽閉される酷い事態になっています。唯一逃げ延びた次女のメリッタはこの窮地を脱してブライナットを倒すべく、一人で城の秘密通路を抜けて夢で教えられたお告げの地へ走ります。

 中盤までこのダン・バロン章とメリッタ章が交互に語られており、二つの出来事が同時に起こっているのかはたまたどちらかが昔のことなのか分からないまま、読者は両方の出来事の行方を見守りながらページをめくっていきます。鍵になる人物はメリッタの兄、昏睡状態の領主ストーンです。この本からいきなり読んでも多分大丈夫です。十分楽しめます。

 本の真ん中あたりから急速に物語は転がり始めるのですが、そこに「遥かなる地球帝国」主人公のラリー・モントレーが再登場したり、ダーコーヴァの不文律に関わる話が混じっていたりと、初心者のみでなくシリーズ読者も満足させるような作りになっています。多少話の筋に触れて仕舞いますが、タイトルになっている「炎の神シャーラ」が中心の不在というか、概念的な存在であるところが印象に残りました。
 
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| 海外(ブラッドリー) | 22:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
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