書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「今はじめる人のための短歌入門」岡井隆
評価:
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KADOKAWA / 角川学芸出版
コメント:わたしが今まで読んだ短歌指南の中で抜群

●本日の読書
・「今はじめる人のための短歌入門」岡井隆/角川ソフィア文庫


 今までわたしが読んだ短歌指南の本の中で抜群。一番いい。つってもそんな何冊も読んでいる訳じゃないけど、「短歌ください」「短歌ください 2」「かんたん短歌の作り方」、の中では一番自分にずどーんと合ってると思いました。

 何がいいかと言うと、曰く「短歌作りは簡単ではない」と言い切っていること。そうよ、色々と結構(決まり事)がある中で、季語を入れて31文字で詠む歌の作り方が簡単な訳ないじゃない! 言葉の選び方が無限にある中でどれをどう選んでどう並べるかってことが誰でも気安く出来る訳がないじゃない! そうだそうだ!(シュプレヒコール)

 と、こう書いているわたしですが、別に短歌作りを本気ではじめようと思っている訳じゃなくてですね。小説を読むのが好きな立場から、他人の言葉を選ぶセンスと言うか、表現のバリエーション……バリエーション違うな、もっと鋭敏で厳しい言葉の取捨選択と推敲について非常に興味がありまして、その極致が短歌であり俳句であると思っているんです。で、俳句じゃなくて短歌に興味を持ったのは、なんか俳句って短すぎる気がするから(あくまで主観です)。

 Kindle で読んでたのでハイライトしたところを抜き書きすると以下になります。

まず、わたしと同じように、短歌作りは困難な道であり、むつかしい作業であると覚悟して下さい。

詩歌は、おそらく、実人生とくらべたとき、「遊び」なのです。あるいは、こういう言い方をしてもいいかも知れない、詩歌が実現しようとしているのは、もう一つの「実人生」なのだと。

結果として、わたしは、(ずい分とぶっきらぼうな言い方になりますが)わたしの接して来た初心の人たちは、わたしほど、短歌がすきではないらしい、とわかって来ました。

五・七・五・七・七の定型を厳しく守るという基本律が、習得できたなら、第二には、一首のなかに、核心となるべき「事物」を据えつける習練をなさってみて下さい。

すくなくとも、基礎として、基本としての短歌は、あくまで、文語的表現に立脚するものであるとおもっています。的な視野と、情報の客観性とは、切れています。

もう一つだけつけ加えます。因果関係を三十一文字にするのは意外にやさしかったはずで、一つの感情を、理窟抜き、説明抜きで三十一文字化するのは、大へんにむつかしいことなのです。

詩歌の比喩は、第一に新鮮で、第二に個性的で、第三に適度の意外性をもっていなければ駄目なようであります。

 まず短歌作りは難しい。そう言い切っているのが素晴らしい。定型を守り字余り字足らずは極力作らない。文語で作る。そして何より短歌を好きでなくてはいい歌を作れない。これらの説明の為に、近現代の短歌、或いは万葉集などからも有名な歌が色々と引かれているのですが、これがいちいち説明に必要十分な条件を備えている短歌で、著者の言いたいことがすっと頭に入って来ます。最初は短歌の良し悪しなんて分からないで本を開いているのに、読んでいる内に挙げられた歌がいかに練られているのか分かってくるとぞくぞくしますよ。そうそう、上記抜き書きには入っていませんが、短歌を書くときはそこらの紙にちょろっと書くのではなく、原稿用紙に気に入りの筆記具で清書する工程が短歌の完成度を上げるのに寄与すると推奨されていました。

 逆にこんなにハードル上げられるとおいそれと短歌なんて作れなくなっちゃうんですが、先に書いたように決められた枠に従うこと、言葉を選ぶこと、言葉を並べること、そういう制限された条件の中でいかにありふれた感情をありふれない短歌に仕上げるかをものすごく頭を使って考えることに憧れます(因みにわたしは、安部公房が原稿用紙十枚分の文章を推敲に推敲を重ねて原稿用紙一枚にしたと云う逸話が大好きです)。
| 国内あ行(その他) | 16:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
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