書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「『学力』の経済学」中室牧子
評価:
中室 牧子
ディスカヴァー・トゥエンティワン
コメント:統計と分析は大事。

●本日の読書
・「『学力』の経済学」中室牧子/ディスカバー・トゥエンティワン


 面白かった! 教育って先生や塾講師や学者じゃない人でも誰でもみんな自分なりの哲学持ってて、機会があればそれを披露したがりますよね、特に子育て中の母親とか(わたしだ)。でもそれって大体が個人の経験であって普遍的に誰しもに応用出来るノウハウじゃないし、はっきり言うと素人の教育論なんて別に聞きたくも何ともない戯言な訳で。うわー書いてて耳が痛いや気を付けよっと。そんな悩める皆様にお勧めしたいこの一冊。いやはや、全世界で教育や学力に関する統計がこれだけ取られているとは。そして日本はあまりにもその統計結果を活用しておらず、賢い政治家さんや官僚さんが寄り集まって効果の少ない施策をしておることがちくりと糾弾されとる訳ですよ。いいっすか、以下に書くことは統計取って分かった学力に関することです。

・子どもをご褒美で釣るのはアリ(但しそのご褒美は点数や成績などのアプトプットではなく、課題達成や読書などのインプットに与えるべき)
・褒めて育てることは子どもに悪影響を与える場合がある(褒めるなら頭の良さなど元々の能力ではなく、努力の過程を褒める)
・ゲームをやめさせて増える勉強時間は最大で二分程度。
・「勉強しなさい」の声掛けは全くの無駄(家族や塾など、誰かが勉強を傍で見ている状況を作ることが大切)←うちこれやってんのに、子ども全く宿題しないんだけど何で!?

 この本で改めて気づいたのは、因果関係と相関関係を取り違えないことの大切さです。一般的に、読書をする子は学力が高いように思われており、読書が学力向上に役立つと云う意見に異を唱える人は少ないと思います。しかしこれを因果関係と相関関係で見ると以下のような違いが現れます。

因果関係:読書をするから子どもの学力が高くなる
相関関係:学力の高い子どもが読書をよくする傾向にある

どうでしょ、結構印象変わりますでしょ。メディアは読書と学力に因果関係があるように報道しますが、もしかしたらそこにあるのは相関関係なのかも知れませんよね、と云うこと。読書が学力に結びつくのではなく、学力が高いと読書にベクトルが向くと云う、卵と鶏を取り違えた(または意図的に取り違えさせている)主張に我々は踊らされているのです。

 本書にはそれ以外に、少人数学級の効果(費用対効果悪いことが海外の統計で既に分かっている)や、習熟度別学級の効果(特に習熟度が低い生徒の学力向上に効果あり)、幼児期の教育でテストの点数に出ない非認知能力(やり抜く力とか努力する力)が向上することなどが書かれています。つーか日本ってば、未だ 40 人学級を 35 人学級にして少人数教育するかしないか論争してたりしてるけど、習熟度別に二十人以下のクラスにするのが学力向上に効果あるって海外で統計結果出てんだっつの何やってんですかね、って思っちゃいますわよね、本書を読んでると。あと子供手当などの金銭ばらまきは統計上教育費に回されないって分かってるから無駄だったんだってさ。あ、因みに作者の考えですが、教員が足りない問題については教師になることの参入障壁を撤廃せよ(つまり教員採用試験なくせ)って意見が書いてあり、難関突破して現役で教師やっている友人七人には非常に申し訳ないのですが、それも手法としてはありだなあと思いました。いやー、参考になった。
| 実用書 | 01:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
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