書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「夢はどうしてかなわないの?」大野正人
●ちょっと前の読書
・「夢はどうしてかなわないの?」大野正人 作・中川学 絵/汐文社


 小学校中学年〜高学年向けの絵本です。三人の子どもたちが冒頭に登場し、活発そうな男の子は野球選手、可愛らしい女の子はパティシエ、眼鏡をかけた男の子は昆虫博士になりたいなあ、と想像しています。この本は、夢をかなえること=人生を過ごすことを冒険になぞらえ、夢を邪魔するものを「悪魔」として描いています。好きなことに夢中になる力こそが、夢をかなえるために最も大事なちからである、とこの本は説きます。彼らは夢への旅に出発します。

 まずそこに登場するのが、新しいことに挑戦するときに恐れを生み出す「ショーキョク」の悪魔。それを倒してチームに入ったり教室に通ったりと新たなことに挑戦した彼らの前に次に現れるのは、失敗体験を思い出させる「オクビョー」。やっても駄目だ、という気持ちにさせる悪魔をやっつけるのに大切なことは「とにかく体を動かすこと」。うん、これは大人にも参考になることだと思います。気の進まない仕事は絶対にあるけれど、放置しておいたらどんどん気鬱になる。そしてどんどん納期がやばくなる。そういう時はえいっと身体を動かせば何とかなったりします。だいじだいじ。

 そう云う、夢への道を邪魔する悪魔をどんどん乗り越えて倒して進んだ彼ら三人ですが、この本何がすごいって、どの夢もかなわないのです。

 夢はかなわない。

 大人が読んだら、「頑張れば夢はかなう」って読者たる子どもたちに思わせるためにも、登場人物の夢がかなう展開になると思うじゃないですか。かなわないんですよ。挫折があったり、越えられない選手に会ったり、自分の限界を知ったり、夢が変わったり。そんなこんなで三人とも、子どもの頃に思い描いていた夢とは異なる職業に就いている。うわー超リアル。

 でも、彼ら三人は自分の就いている職、選んだ道に満足しています。それは彼らが色々な悪魔と出会い、勝ったり負けたり、踏ん張ったり妥協したりしながら、自ら探し選んだ人生を生きているからです。実際にはその職業や人生に満足していない大人も沢山いるでしょうが、彼らは自分の「いま」に満足してる。そこはちゃんと「夢を見させて」くれている絵本だと思います。少し夢が見えかけている子どもを持つ親御さん方にどうぞ。
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