書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「珈琲店タレーランの事件簿4」岡崎琢磨

●本日の読書

・「珈琲店タレーランの事件簿4 〜ブレイクは五種類のフレーバーで〜」岡崎琢磨/宝島社文庫

 

 タレーランシリーズ第四弾ですが、特に緩むことなく面白かったですよ。童顔のバリスタ切間美星さんと、彼女とお近付きになりたい別店バリスタのアオヤマ青年。過去三作に出て来たキャラクターも再登場しつつ、タイトル通り短編五つを収めた作です。どれも毛色が違っていて面白かったのですが、理学療法士のための専門学校を舞台にした「パリェッタの恋」がもっとも手の込んだ書き方をされた作品で白眉だったと思います。


 基本的に前三作は、純喫茶が舞台と云うこともあって珈琲に関する蘊蓄がふんだんに盛り込まれたミステリーでしたが、今作は珈琲を少し離れて理学療法士やダーツ、美術に関するモチーフが上手いこと埋め込まれています。珈琲ほとんど出てこない。あと既刊を読んでいる者として少し不思議に思ったのが、アオヤマ青年が美星さんと同じくバリスタであるということが(物語上必要とされない限り)敢えて隠されているのかと思うほど言及されていないこと。それと、苗字がカタカナ書きになっていること。「青山」でいいと思うんですが、なんかの伏線でしょうかね。アオヤマ青年の身上が書かれていないのは初出媒体である「このミステリーがすごい! 大賞作家書下ろしブック」の影響かなあとは思うのですが、なんか違和感あったなあ(複数作家の競作形態だから登場人物の背景は必要ないっちゃないけどね)。

 

 タイトル通り、シリーズの「ブレイク」になっている本作では、美星さんと青山君の仲が進展することは特にないのですが、隙間を埋める番外編としては良かったです。せっかくなら次作はもう一度原点回帰でコーヒーの話に戻って、蘊蓄たっぷりの連作短編集、または長篇にして頂ければと思います。言うだけタダ。

 

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