書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

「佐藤オオキのボツ本」佐藤オオキ
評価:
佐藤オオキ
日経BP社
コメント:同い年なんだよなあこの人。


●本日の読書

・「佐藤オオキのボツ本」佐藤オオキ/日経 BP 社

 ずっと「佐藤ナオキ」だと思ってた。「オオキ」だったとは。カタカナから受ける印象で思い込みが修正されないままずっと NIKKEI DESIGN の記事を読んでいたよ。

 本書はデザインオフィス nendo 代表として有名な佐藤オオキ氏の著書。デザイン業界に然程詳しい訳ではありませんが、ひととき佐藤可士和氏(カシワシ。音読したい日本語)が若手の先鋭だった印象がありますが、最近はこの方が有名になってきたように思います。と云うのはわたしが NIKKEI DESIGN の作り出すイメージに踊らされているだけかも知れませんが。代表的な仕事を挙げると、ロッテのガム「ACUO」のパッケージデザインした方です。

 本書の内容は、過去に著者が有名企業とタッグを組んで世に送り出した作品「に至るまでのボツ案」を収録し披瀝したものです。顧客たる企業に提示するモックアップの精度と完成度が高いです。そのまま商品に出来そうなレベルのものもあるように見受けられます。個人的な事情を申しますと、わたしは NIKKEI DESIGN を読んでおりましたんで同誌の情報から著者の代表的なデザインワークを一通り知っている上で読んでおります。故に初めて手に取る人よりは「あー、知ってる」感が強い。ロッテ ACUO も、早稲田大学ラグビー部の復興も、IHI のロゴだけポスターも、ACE の全方位から開くキャリーバッグプロテカも、omni7 も、by N も、関わってヒットしたこと知ってます。うん、一流だよなあ。わたしと同い年なのに。

 にしても最近は企業イメージも含めて「デザイン」の重要性が喧伝されておりますが、著者も含め、デザイン業界で力があるとされる方は大体が企業にがっつり組み込み、企業理念に基づいてゆがみを直したり起業本来のところに立ち返ったモノ作りの支援をしているように思います。顧客である企業を巧く動かし新しい価値観を産み、ある種の企業再生を果たさせるためには、トップの英断や顧客企業内のチームの結束力、やりきる力を引き出すことが必要です。nendo がそれをどうやっているかというと、精度高いデザインとそのモックアップ、あと己らが部外者であるとの割り切りから発想されるアイデアの数で勝負してるとのこと。勿論様々な事情でそれらはボツになっていくのですが、その一度滅びたボツ案が、アイデア検討の途中で復活したり、形を変えて生かされたりするのです。うーん、エキサイティングな感じ。

 企業再生の特効薬みたいな扱いの「デザイン」とは果たしてなんなのだろうとここ一年ほど考えておるのですが、単純にこのような有名企業の成功例を読んでいると「いいなあ」と思います。しかし個人的な身に立ち返るとやっぱり自分の扱う製品には色々と制約があって、果たしてこういった革新的な「デザイン」という嵐に巻き込まれた時に何が出来るのだろう、何が生み出せるのだろう、と考えて仕舞うんですね。うーん、悩ましい(超個人的な締め)。

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