書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「隣のサイコさん」別冊宝島
●本日の読書
・「隣のサイコさん 〜「いっちゃってる」人びとの内実〜」別冊宝島編集部編/宝島社文庫 ISBN : 4-7966-5085-7


 こう云う露悪趣味な本は実は好きです。それは結局自分が「狂い」ではないと思い込んでいるから、厭らしく高い視点に立って読んで面白いと感じる訳であって、もし自分が「狂い」である場合にはそもそも手に取ろうと思うだろうか。そう云う点であたしの非常に厭らしい面の見えるセレクトである、と。嗚呼こうして書いていて何か自分が厭になって来たぞ。

 宝島社のムックを加筆訂正して新装文庫として出したものだそうで、内容は目次を要約する形で書くと、以下。

PROLOGUE:筒井康隆インタビュー
PART1:妄想
PART2:依存症
PART3:パラノイア(偏執狂)
PART4:宅八郎インタビュー
PART5:人格障害

 中で興味を引かれたのは、冒頭の筒井康隆のインタビューと(主に自分が筒井康隆ファンであると云う面も大きい)、刑務所の中の狂いを描いた見沢知廉のドキュメント(そう言えば見沢知廉も自殺しちゃったなあ)。逆にネット上のおかしな書き込みを列挙した部分(PART1)などは、現在の悪意満載某巨大掲示板なんか読み慣れた目では些か大人しく感じる部分も。
| 国内た行(その他) | 21:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
「傭兵の誇り」高部正樹
●今日の読書
・「傭兵の誇り」高部正樹/小学館 ISBN:4-09-389261-X


 あたしは傭兵と云う「職業」を全く知らないので、ちょっとした興味で読んでみましたこの本。なんてったって「傭兵」って字を紙に書けと言われたら間違いなく「庸兵」って書いてたと思うくらい、何も知らなかった。作者は日本で唯一傭兵と云う職に就いている人。三十を数える今も現役。

 先ずは本を読む前の傭兵に対する思い込み。
(1) 給料が高い
(2) ……を書こうとしたけれど何も思い浮かばなかった
そう、今まで考えた事すら無かったのですね。強いて云うなら特殊技能を持つ雇われ兵だから正規兵とは別の指揮系統に属して機密活動とかするのかなぁ、程度か。でも読んでみたら全く違う。命張ってんのに給料は日本の高校生バイトより安いし、外国人だから機密活動や重要な任務を任せられる事は無い。扱いは正規兵よりも断然悪くて、敵が攻めて来たら真っ先に殺されるような場所にこそ配備される、使い捨ての兵隊。絶対死ぬって判ってても行かなくちゃならない。

 厭だよ、絶対にそんな職業に就きたくねぇ。

 兵役がない日本人であるこの人が、んじゃ何で傭兵なんて職業を選んだのかと言えば、「最強の男になる」と云う夢があるからだ、との事。……自分は女でありますが、その思いは少し判る(判ることとやる事は別だ)。最強とは言うけれど、あたしは「強い」と云う事に関しては、守るものあってこそだと思います。単に体力や戦闘技術に附いて人より秀でていれば良いってんじゃなくて、何かを守りたいと思った時に絶対に他人を圧倒出来る力を持つ「最強」。何かに備えての力。庇うもんがなけりゃ、強さを極めても虚しいんじゃなかろうか、ってこれはあたしの考えですが、作者は作者なりの思いがあって傭兵と云う職業を生きている。

 内容に附いて衝撃を受けたのは、月並みですが世界ではまだまだ戦争が日常で、傭兵はそんな中で人を殺し人に殺される生活をしていると知った事。敵の戦車一台爆発させる為に人間が三人死ぬ、地面を匍匐前進してくる人間を櫓の上から狙って射殺し続ける、敵の激しい銃撃で目の前の人が一瞬で内臓までぐちゃぐちゃの肉隗になる、そんな情景が自分の生活時間と並行で起こっているなんてやはり想像し難い。やはり日本ではちゃんとアンテナを張ってないとどんどん世界情勢に鈍化して、平和ボケしちゃうと反省。あたしにはまだまだ知りたい事、知らなくてはならない事がある。
| 国内た行(その他) | 20:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
「ミシン2/カサコ」嶽本野ばら
●今日の読書
・「ミシン2/カサコ」嶽本野ばら/講談社文庫 ISBN:4-09-386141-2


 なんつかあれだ。嶽本野ばらを特に高く評価はしていないのだけれど、新刊を漏れなく読んじゃったなんて凄くファンみたいじゃない? 実際は会社の帰りに寄った本屋さんの椅子に座って読み通しただけなのですがね。そう、まるで図書館にいるが如く。

 内容に附いては触れるのが非常に難しい。前作の「ミシン」を読んでいないと全く分からないと思われる。主人公及びミシン(登場人物の名前)については今作でも説明はされているが、馴れ初めやら性格やらは読んで無いと掴み難い。なにしろ今作でミシンの取る行動が、前作の一人の登場人物に強く影響されているが故なのだから仕様がない。あ、因みにミシンはパンクバンドのヴォーカリストで、矢沢あいの漫画「NANA」の大崎ナナをイメージすると大体合います。

 筋書きに触れない抽象的な感想を述べる事にしよう。人間の関係性を描く事に附いては上手になっている、と書くとお前何様だよと云う感じになるので換言すると、人同士の不器用な繋がりが上手に表現されていると思います。前作での「わたし」は今作でミシンに依って「カサコ」と云う名前を与えられて、愛情故の受動的性格から事件を経て能動的に動くようになるまでになり、それが根拠のある変化なので一つの小説として綺麗にまとまっています。

 欠点を挙げるなら、ミシンと同じバンドのスエキチとアランがちっともキャラ立ちしてないとか、偶に自分と作者の感性が合わない故に引っ掛かる表現がある辺りかな。
| 国内た行(その他) | 23:24 | comments(0) | trackbacks(0) |
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