書評・三八堂

のんびり不定期に読んだ本の感想を書いていきます

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「こどものためのドラッグ大全」深見填
●本日の読書
・「こどものためのドラッグ大全」深見填/理論社 よりみちパン!セ ISBN : 4-652-07808-0


 新書には総論を求めず、各論のみ求めるしかないと云うのは「人は見た目が9割」を読んだ時に諦観と共に思った事だが、これは割と論の進め方は好みでした。まず一口にドラッグと言っても種類がある事を説明、アッパー系・ダウナー系・幻覚系の分類から、それぞれの代表的なドラッグの成分と摂取した時の効果を説明、章が変わって「自分が依存症になった時」「周りの人が依存症になった時」について、作者が考える事態を好転させる方法を提示する、と云う内容でした。

 ドラッグ関係の著作は然程多くは読んでいませんが、自分が一番好きな「アマニタ・パンセリナ」(中島らも/集英社文庫)は超えないにしても、分類が分かりやすいので入門書(何のだ)としては良いと思いました。

 内容でちょこちょこと出て来る作者の考えとして、ドラッグは先生にしろ医者にしろ「悪いものだ」と決め付けて、使用者を糞味噌に否定するのは良くない、と云うものがありました。確かにそう云う側面はあります。かといって全ての指導的立場にある人がドラッグのそれぞれを勉強し、自分なりに解釈してアドバイスする事が出来るかと云うと、それは現実的に非常に難しい。しかしその為の努力はするべきでしょうね。自分は勉強不足だから作者のこの考え方に賛同も否定もまだ出来ませんが、理解した上での助言と云うのは何事に於いても大切であろうと思います。
| 国内は行(その他) | 22:48 | comments(0) | trackbacks(1) |
「夏の約束」藤野千夜
●本日の読書
・「夏の約束」藤野千夜/講談社 ISBN : 4-06-210080-0


 タイトルになっている「夏の約束」の内容については冒頭のマルオとヒカル(ホモ)の会話で早々に説明されるのだが、その「約束」の行く末については、森鴎外の「百物語」的結末になる。これだけで話の終わり方が分かっちゃった人に対しては申し訳ありませんが、本の趣味が合うようなので是非お友だちになって下さい。

 以前読んだ「少年と少女のポルカ」「おしゃべり怪談」でも同じ事を感じましたが、藤野千夜の小説には多く、ホモであったりトランスジェンダーであったりと云う人が登場する。実際にそうである知己がいないので推測の域を出ないのだが、恐らく現実世界での彼らは生きにくさを抱えている。しかし、作品に登場する彼らは、生きにくい筈なのにそれを分かりつつ上手く生きている。この乾いた明るさと云うか、不健全にならない感じが非常に救いに思える。

「夏の約束」は身の上も仕事も違う色々な人が登場するが、それぞれに深く浅く事情を抱えていつつも上手に生きている。特段大きな事件は起こらない。日々は平坦で、しかし止まる事なく時間は流れている。正に日常生活を描いた作品である。件の「夏の約束」が中心になりつつもその実態はいつまで経っても見えて来ず、見事な「不在の中心」の役割を果たしている。それがないと人が動かないのに、実体が無いと云う「不在の中心」。こう云うの好き。

 何となくですが、読む人によって評価は分かれるのではないかと思う。エンターテイメントを読み慣れている人にすれば何も起こらないのが気に食わないのではないかと。自分としては、藤野千夜を読んでいると野中柊の作品を必ず思い出すのだが、こう云った、大きな事件が起こらなくても日常は進み、その中で人間はちょっとずつ変わっていく感じを丁寧に描いた作品は、ふとした時に急激に読みたくなる。

 第122回芥川賞受賞作。この一読平坦に思える文章に、他の誰も描き得ない日常が内包されている。
| 国内は行(その他) | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
「メガネ男子」ハイブライト編
●本日の読書
・「メガネ男子」ハイブライト編/アスペクト ISBN : 4-7572-1174-0


 いつか感想書くと思ってたでしょ。

 フェチ萌えで肩身の狭かった「メガネ男子萌え」を、昨今のブームに乗ってオサレ系の本に仕上げ、人口に膾炙するスタイルにした編集部には素直に拍手を捧げます。しかし、因縁であり宿業でもある真性メガネ萌え(なのかなぁ。多分そうだろうなぁ)の自分からちょいと厳しめに評価させて頂けるなら、何となく薄い様な気がしました。いえ物体としての厚みではなく、俎上に上げられている人々の濃度が。

 こう云った事は十人十色の趣味で御座いますから、勿論賛成反対異論反論腐るほど出ているとは思います。しかし、敢えて此処で「メガネ男子名鑑」について書かせて頂けるなら、収録されていないナイスメガネ男子が多過ぎ。石田小吉(元Spiral Life、元Scudelia Electro)、大江千里(くるり岸田よりも彼の方がメガネミュージシャンとしては早い)、ラーメンズ小林賢太郎&片桐仁(芸人さん多く収録されていたけど、オリエンタルラジオよりこっちを!)、いとうせいこう(好き好き)、何よりも、キッチュ松尾貴史が載っていないと云うのはどうなんでしょうか!(大好き好き) いや、単に俺の趣味だけど。ああそうさ、インテリメガネ好きさ。ま、この名鑑に関しては力作だと思いますが、きっと他のメガネフェチ女子からも色々色々言われていると思うし、好きな人は大体収録されていましたし概ね満足です。

 他の収録内容としては、「いわみて」(と云う Web 漫画がある。正式名「言わせてみてえもんだ」。超おもろい。知らない人はググれ)のさとさんの漫画読めた事と、春風亭昇太のゲスト原稿と、メガネブランド色々と知る事が出来たので、冒頭のお手柄も併せて高評価&好評価です。後日話として、この本が原因で菊池さんの写真引き上げ事件とかあったのは、編集の手落ちだと思います。対談者の後味も悪いし、その後の友人関係にも申し訳ないよね、お気の毒に。

 最後に確認ですが、俺の憧れが突っ走っちゃっている一押しメガネブランドは999.9(フォーナインズ)ですからそこんとこ宜しく。アランミクリも好きだけどちょっと強すぎるかな。
| 国内は行(その他) | 08:52 | comments(0) | trackbacks(1) |
「マゼンタ 100」日向蓬
●本日の読書@車中
・「マゼンタ 100」日向蓬/新潮社:ISBN: 4104559016


 どうしても「第一回 新潮社 R-18 文学賞大賞受賞者」と云うフィルターを剥がして読めないので、ちょっと意地悪な小姑っぽく「最初の短篇集にしては上手よねー」ってコメントが先に立つ。うーん書きながらやっぱ意地悪だよな。

 同じ女性の九歳から三十三歳までの恋愛を切り取った短篇集と云う事で、どれも平均的に綺麗にまとまっているなぁと云う感じでした。モチーフに使われているものがちゃんと話中で生きてもいるし、オチもいい。逆に言えば良くまとまっているのできっついパンチがないと云うか何と云うか。

 自分が妙だったり狂っていたりねじれていたりするものが好きな故の感想だろうな。何となくですが、唯川恵の位置には行ける筆力のある人だと思う(野生時代か何かに掲載されたその後の短篇を読んでも上手だったし)。女性恋愛小説化群雄割拠の今後、どう自分の立ち位置を見つけられる方かが楽しみです。

 うわー尊大な書評だー。何様だ俺様。
| 国内は行(その他) | 15:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
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